外断熱推進会議 外断熱建築推奨基準(2008)改定にあたって

外断熱推進会議では、2008年5月23日に開催した2008年度通常総会において「外断熱推進会議 外断熱建築推奨基準(2008)」を審議し、原案通り可決・制定した。

推奨基準(2008)はこちらをご覧下さい

今、社会を持続可能なものとして守るためには、化石燃料消費を削減し、またCO2等の温室効果ガス発生を抑制することが危急の要請である。住宅用建築における運用時のエネルギー消費とそれに伴う温室効果ガス発生は総量として非常に大きいことから、住宅の省エネルギー化に寄せられる期待は高く、建設省(現国土交通省)でも1999年3月、それ以前の住宅の省エネルギー基準を改めて、新しい基準「次世代省エネルギー基準」(以下「次世代基準」と略称)に改正している。しかし、この次世代基準では、それまでにわが国で普及していた内断熱工法利用を想定して建築外皮の熱貫流率を算定し、達成すべき建物全体の熱損失係数を設定しているため、利用できる断熱材厚さの制約から、屋根や外壁などの部位別外皮に求められる熱貫流率はそれ程高いレベルとはなっていない。 (

次世代省エネルギー基準については(財)建築環境・省エネルギー機構 (IBEC) を、地域区分については同サイト内次世代省エネルギー基準の 地域区分等でご確認ください。

一方で、この次世代省エネ基準改正と前後して我が国で普及し始めた外断熱工法の利用を前提とすれば、断熱材厚さを増やしても室内空間を圧迫しないため、より高性能な熱貫流率を部位別外皮に求めることが可能となる。外断熱推進会議が提唱する「外断熱建築推奨基準(2008)」は、「次世代省エネ基準」の考え方を踏襲しつつ、外断熱工法や高性能樹脂サッシの利用を前提に、窓、壁、屋根等の部位別外皮の熱貫流率を高性能化して設定された地域別性能基準である。この新しい「外断熱推進会議基準」を実践・普及させることは、化石燃料消費を削減し、温室効果ガス発生を抑制する上で、極めて有意義である。さらに、住宅建築の環境性能向上を目指すトップランナーとして、外断熱外断熱推進会議の姿勢や努力を広く社会や市場・消費者にアピールし、省エネ基準の向上を図る上でも有効である。しかし、このような社会・市場へのアピールを実施するには、「外断熱推進会議基準」で得られる建物の省エネルギー性能や室内熱・湿気環境の向上を定量的に評価した客観的基礎資料が必要不可欠である。

ただし、今回発表した「外断熱建築推奨基準(2008)」は、すでにその数値をクリアした建物が市場にあり、これがベストというものではない。ドイツでは、年々省エネ基準を厳しくし、2020年より無暖房住宅(パッシブハウス=15 kWh/m2a)がドイツの省エネ基準(最低要求基準)になると言われている。従って、この基準は2008年度の暫定基準として、これを超える省エネルギー性能を妨げるものではない。

「外断熱建築推奨基準(2008)」は、次世代省エネルギー基準が求める住宅用建物の断熱・保温性能を上回る超高断熱化を要求し、これを実践・普及させるねらいがある。外断熱推進会議では、京都工芸繊維大学大学院・芝池英樹博士(当法人正会員)にその有効性を評価するために数値的検証を要請した。検討に用いた計算手法は、多孔質材料内の温度・相対湿度・含水率を基礎変数とする非線形非定常熱・水分同時移動方程式 を応用して室内の温度・湿度・CO2環境、建築外皮の熱・湿気移動や結露発生等の長期間に亘る非定常変動を数値予測するアプリケーション「WUFI Plus 1.2」 (Wärme und Feuchte instation&umula;r - Transient Heat and Moisture – 非定常熱・湿気)である。このアプリケーションはドイツFraunhofer建築物理研究所のKünzel、Holm両博士等により開発が進められているもので、芝池研究室との共同研究を前提とした研究用ライセンスが開発者の厚意により提供されている。

数値的検証にあたっては、全国6都市(札幌、盛岡、仙台、東京、宮崎、那覇)を抽出して、同一形状の建物モデルに3種類の断熱仕様(外断熱推進会議基準外断熱レベル、次世代省エネ基準外断熱レベル、次世代省エネ基準内断熱レベル)を施して、室内空間の冷暖房エネルギー消費量、予測平均温冷感等の各種熱・湿気状態量を計算・比較して検討を進めた。計算結果から、外断熱推奨基準』採用により、年間消費電力では次世代基準内断熱の最高約1/3に削減できるなど、所期の性能がもたらされることを明らかにした。

この、外断熱推進会議外断熱推奨基準の有効性評価に関する研究 ・WUFI Plusによる数値的検証』(京都工芸繊維大学大学院・芝池英樹博士)については、後日、当ホームページ上に詳細な内容を公開する。


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投稿者 sotodan : 2008年06月06日 16:09