第9回技術セミナー「百聞は一見に如かず:実測報告」 報告
「第9回外断熱技術セミナー」が開催されました。
EiPC外断熱推進会議主催の「第9回外断熱技術セミナー」が平成17年11月11日(金)に、EiPC事務局がある、港区芝公園の機械振興会館 B3-6会議室において開催されました。
そのレポートをお送りします。
「目的」
今回のセミナーは、外断熱の建物が全国で広がるなかで、より多くの関係者に外断熱の性能を知っていただく事を目的として実施されました。
「外断熱の性能」
外断熱工法を採用した分譲・賃貸マンション、更には外断熱改修の建物が全国で建設されるようになりました。しかし一方では、「外断熱を採用してどれだけ良いのか、定量的な証明」を求める建設会社、設計事務所も数多く存在し、「外断熱は素晴らしい」だけのアッピールでは、なかなか広まらないのが現状です。
「百聞は一見にしかず!」
外断熱の建物(新築・改修)が全国で建設され、外断熱建物の性能測定が行なわれてきました。しかし、その内容は限られた範囲でしか知る機会がありませんでした。そこでEiPCでは、都市建築物理研究(熱・湿気)の第一人者京都工芸繊維大学 芝池英樹博士が測定した、公営住宅における外断熱改修、体験ルーム(内断熱、外断熱)、新築外断熱マンション(乾式通気工法+湿式密着工法)の温熱及び湿気に関する具体的なデータを、前記芝池博士、信和住宅販売(株)清瀬部長、(株)ツヅキ廣口部長のご協力により、ご紹介する機会をもつことが出来ました。
セミナーは、外断熱推進会議事務局長・堀内の司会で始まりました。
「高野町町営住宅における外断熱改修」後の室内温度・湿度測定
最初に、京都工芸繊維大学 芝池英樹博士より、和歌山県高野町において行なわれた、「高野町町営住宅における外断熱改修」後の室内温度・湿度測定について、「近畿地方の寒冷地に建つ外断熱住宅の厳冬期熱・湿気性状の実測評価」(空気調和・衛生工学会学術講演論文集2004.9.8)を紹介し、講演が行なわれました。

(高野町町営住宅写真)
(講演する芝池博士)
芝池博士は、豊富な実測データを駆使して、外断熱改修により、開口部以外からの外気の影響を受けない事や室内側壁表面で結露が生じにくい事などを紹介しました。
「外断熱体験ルームの温度・湿度測定」
次に、神戸において本格的な外断熱マンションを分譲している信和住宅販売(株)の清瀬部長から、 「外断熱体験ルームの温度・湿度測定」について報告が行なわれました。
神戸市内に設置された、外断熱と内断熱の体験棟(RC造 2m×2m=4㎡)において、外気の影響がエアコン使用時に居室温度・湿度にどのような影響を与えるかについて調査(2004.08.12~09.13)した。
その結果、内断熱では、25.5℃で冷房停止後、8~10時間後30℃まで上昇したが、外断熱では、30分経過で27℃まで温度上昇をするが、8~10時間後には、0.5℃しか上昇していないことが確認でき、外断熱の効果が現れていた。
(発表する清瀬部長)
(清瀬部長の話を聞く会場の参加者)
『グローバルLLH亀戸』の熱・湿気性状についての測定結果
次に、(株)ツヅキ 廣口部長から東京都江東区亀戸に建設された自社の外断熱賃貸マンション『グローバルLLH亀戸』(RC造 地上6階 ワンルーム35戸)の熱・湿気性状についての測定結果について報告された。『グローバルLLH亀戸』は、平成16年12月21日(火)にEiPC主催で現場見学会を行なっている。
『グローバルLLH亀戸』は、乾式通気層工法(LLH外断熱工法)と湿式外断熱工法など複数の外断熱システムを採用した外断熱賃貸マンションですが、この建物150箇所に様々な測定のセンサーが埋め込まれている。
コンクリート内部に温・湿度センサーを埋め込んでいるほかに、コンクリート両面や断熱材に熱流計、通気層には空気の流速を図る機器が入れられ、様々な測定が行なわれている。
(発表する廣口部長)
(熱心に廣口部長の報告を聞く会場)
民間の企業が、外断熱を世に広めるために自社でマンションを建て、専門家の力を借りてその測定を行い、NPO等で結果を公表する意義は大きいと思います。また、この賃貸マンションでは、複数の外断熱工法が採用されており、その性能が比較調査されます。
測定は、入居後の平成17年4月から行なわれており、8月までの測定の結果では、
1) 自然室温は16℃から4月末で22℃まで徐々に上がっているが日変化は1℃程度と小さい。
2) 壁コンクリート内の相対湿度は95%から5~7%低下。
3) 通気層内の気流は、下部(1階)では午前6~8時に下降流となるがその他は上昇流、上部は(5階)は終日上昇流で、日射のあたる時間帯に最大流速となる。
4) バルコニー床上面断熱の有無により、梁内の温度分布に1℃程度の差が生じている。
(空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集〔05.8.9~11札幌〕より)
温暖地(関東以西)の冷房を必要としている地域における、外断熱の性能と熱・湿気の性状を調査することの意義は、外断熱が我が国で標準化(スタンダード)することに大きく貢献することと期待しています。
「第一回 米国カナダ外断熱の旅」の目的とその意義
最後に、京都工芸繊維大学 芝池英樹博士より、新たなる挑戦「第一回 米国カナダ外断熱の旅」の目的とその意義と題して、平成18年2月5日(日)出発の第一回「米国カナダ外断熱の旅」について紹介がありました。
(「第一回 米国カナダ外断熱の旅」について紹介する芝池博士)
米国カナダ外断熱調査のポイント!
□日本の温暖地域(関東以西)の気候と似通った北米南部の大都市アトランタにおける冷房対策と外断熱調査
□RC外断熱によるマンションや商業ビル実態建築調査
□高性能外皮(外断熱)の耐久暴露試験調査
□クールルーフ研究の最前線調査視察
*東京都では、地球温暖化及びヒートアイランド対策の一環として、屋上緑化や高反射率塗料による建築物の被覆対策を推進する事業(クールルーフ推進事業)を、今年度から3ヵ年実施していきます。
□ハリケーン対策や耐火耐震性能などについての調査
□カナダでは、湿式工法だけでなく乾式工法も含んだ調査を行ないます。
「第一回 米国カナダ外断熱の旅」の詳しい内容
についてはこちらをご覧下さい。
After Seminar
技術セミナー終了後、同会場にて懇親会(金曜会)が開催されました。技術セミナーには参加出来なかった方々や金曜会の常連、さらにはスコットランドからもお客様がいらっしゃいました。
次回の技術セミナーは、「外断熱工法の国際規格化(ISO)と湿気対策面からの工法の検討」をテーマに12月22日に開催されます。
終了後、忘年会をかねて懇親会を開催します。
第10回技術セミナーについてはこちらをご覧下さい。
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投稿者 sotodan : 2005年12月04日 18:07
