堀内正純のハンス・エーク 日本セミナーPart-Ⅱ 同行記第2回

第2回 11月14日(月)
ハンスの朝は早い、朝早く起きて茅野の町をひとりで歩き・・・、建築家らしく町の風景や建物の写真を撮ってまわる。ハンスにとってこの瞬間が楽しそうだ。前日の夜、茅野市についたハンスは早速会場に向かった。セミナー会場は、10月1日にオープンしたばかりの茅野市民館のコンサートホールだ。

(写真 2-1 茅野市民館
コンサートホールに入ったハンスは突然歌いだした。大きな声量が会場に響きわたった。「このコンサートホールは素晴らしい、世界でも有数のホールだ」とハンスは絶賛した。明日の講演にマイクは使わないと言い出した。

(写真 2-2 コンサートホール)
11月14日月曜日、6月にハンスの手帳に書き込まれた日が来た。
外断熱セミナーin茅野  『地球環境と無暖房住宅』~エネルギーを使わない暮し~
http://sotodan-npo.org/blog/archives/2005/11/partin_1.html

■主 催:特定非営利活動法人 外断熱推進会議
■後 援:(社)長野県環境保全協会、茅野商工会議所
■協 賛:綿半鋼機株式会社
■開催日:平成17年11月14日(月)
■会 場:茅野市民館コンサートホール  長野県茅野市仲町1-22

(写真 2-3 コンサートホール受付)
セミナー会場には、12時30分の開場を待てない人々が11時過ぎから入り始めた。席は開場とともに埋まった。
予備のイスを出そうとしたが、消防法の規定で出来ないという。急遽特別室(ガラスで覆われたお子様連れや、周りに気兼ねせず楽しみたい方の部屋)にもイスが運び込まれた。

セミナーは、外断熱推進会議専務理事の宮坂幸伸の司会と主催者挨拶ではじまった。宮坂は、「今回のセミナーで私どもが最も重視をし、また期待を致しておりますのは、ハンス氏の建築に対する考え方の底流に流れるものを、参加していただいた皆様方にしっかりと受け止めていただければ、と考えているからです。それは地球環境から住まいの環境にまで至るあらゆる環境を守るということは、如何にエネルギーを使わないか、ということと全く同義語であるということです。」と語り、「今回のセミナーを通して地球環境と建物の役割の大きさを考え、省エネ、省資源、健康な住環境、非常時の対応など、これからの時代に何が必要なのか、そしてその為にきちんと性能を発揮出来る断熱、気密などの必要性をご参加いただいた皆様方にご理解いただければ幸いです。」と話した。

(写真 2-4 司会 宮坂幸伸専務理事)
セミナーは、最初に私が「地球環境と外断熱」の題目で講演した。

講演内容は
 1.ハンス・エークのスウェーデンにおける存在と偉業の紹介
 2.平成17年2月のハンス・エーク 日本セミナー「地球環境と無暖房住宅~エネルギーを使わない暮らし」の紹介
 3.ハンス・エーク氏 「愛・地球賞」受賞とアリングソースにおける外断熱改修について
 4.日本国内の外断熱マンションの現状と住人の声
 5.日本国内の外断熱改修の実態
 6.欧州の外断熱 新築と改修事例紹介
 7.米国の外断熱 視察ツアーの紹介
 8.知って得する海外情報  エネルギーパス(証明書)について
 9.知って得する国内情報  省エネ法改正とマンション環境性能表示(東京都)について
(講演内容については「地球環境と外断熱」pdfを参照下さい)

(写真 2-5 講演する堀内正純事務局長)

次に、ハンスの講演が始まった。
講演の冒頭、ハンスは前日買ったジャパンタイムズを手に取り、「日光では、春の訪れが二週間早くなり、秋の訪れが二週間遅くなっている。札幌でも初雪が例年より一週間遅れている。」と話し、地球温暖化防止のための建築の役割について話をはじめた。

(写真 2-6 講演の冒頭 ハンス・エーク)
2月のハンス・エーク日本セミナーと同じ、イエテボリ市公認の通訳であり、環境や高齢者福祉の専門家である作家の友子ハンソンさんが通訳をつとめた。
ハンスの講演内容は
 1.イエテボリ市の紹介
 2.地球の地表の温度の移り変わりとCO2の国別発生量について
 3.元家庭科教師ヘルガ・ヘンディクソンの家~「エンジニアのクリスマスツリー」
 4.パッシブソーラーハウス
 5.ドイツ(インゴルシュダッド、ドレスデン)でのパッシブハウスの取り組み
 6.無暖房住宅
 7.2002年 正月の大寒波到来
 8.Differnt processes~施工会社・職人・設計者の協業
 9.コンクリート建築における無暖房住宅
 10.60~70年代に建てられた100万戸住宅政策時代の集合住宅の外断熱改修
 11.アリングソース市ゴードスタン団地の外断熱改修プロジェクト
 12.Backcasting(バックキャスティング)~50年先のビジョンから現状を見直す
 
(写真 2-7 講演するハンスと友子ハンソンさん)

(写真 2-8 ハンスの話を聞く、満席の聴衆)

(写真 2-9  Backcasting(バックキャスティング)の説明をするハンス)

講演終了後、ハンスから会場の参加者に質問はありませんかと呼びかけがあり、会場の参加者からは多くの質問が飛び出した。
 Q-1.温暖地においても無暖房住宅が必要か?
 スウェーデンの無暖房住宅は木造ですが、RC造でも無暖房住宅は可能か?
  A-1:温暖地においても無暖房住宅は可能であるが、若干の冷房が必要だが大きな能力は必要ない。
 木造だけでなく、RC造でも無暖房住宅は可能である。

 Q-2.スウェーデンでは断熱厚さや使用建材について規制はあるか?
  A-2:法律で断熱厚さや換気について基準がある。使用される建材についても建築基準法ではないが、別の基準があり規制されている。

 Q-3.無暖房住宅では、換気システムはどのようなものを使っているのか、換気システムのダクトの汚染は大丈夫か?
  A-3:無暖房住宅では、熱回収率が85%以上の効率を持った熱交換換気装置を採用している。このシステムには春秋用のバイパスもあり、熱交換の必要がない時は、直接外気を取り入れることができる。
換気システムのダクトの汚染は、どうして起きるのか?カビが生えるためにはそのための条件が必要となるが、高性能なフィルターを使えばそのような問題は起きない。ただし、フィルターは、年に1~2回の交換が必要だ。

 Q-4.無暖房住宅の壁構造はどのようになっているのか?
  A-4:壁の断熱厚さ430ミリ、屋根断熱厚さ500ミリ、窓の性能は三重硝子でU値が0.85W/㎡.kである。
  
(写真 2-10  会場からの質問に答えるハンス)

このほかにも、多くの質問が会場から寄せられたが、ハンスはひとつひとつ丁寧に回答していた。
ハンスの講演が終ったあと、休憩に入ったが、そのまま帰る人が殆どいない。

休憩後、茅野市において小規模多機能介護サービス施設を無暖房での建設をすすめている(株)アロー設計の藤森社長が計画の概要を説明した。日本で始めて建設されるRC造、2階建ての無暖房施設である。

(写真 2-11  (株)アロー設計 藤森社長)

次に、宮坂の司会で、会場からの質疑に移った。壇上には、ハンス、友子ハンソンさん、藤森さん、そして私が上った。
はじめに、友子ハンソンさんから「スウェーデンからの報告~高齢者福祉と住宅」をテーマに、パワーポイントの映像を駆使してスウェーデン人の考え方や高齢者福祉施設のあり方について紹介があった。

(写真 2-12 「スウェーデンからの報告~高齢者福祉と住宅」友子ハンソン)
DSC08329.JPG
(写真 2-13 講演する友子ハンソンさん)
その後の質疑では、長野県らしい「無暖房住宅住宅では、室内で漬物をつけたり出来ないのでは?」との質問があり、ハンスはスウェーデンでも鰊の酢づけや漬物もある。リンドースヒュース(無暖房住宅)では、玄関前の風除室の横に断熱をしてない納戸があり、そこに保存すると答えた。

(写真 2-14 質疑応答の場面)

(写真 2-15 最後まで熱気に溢れた会場)
会場は、最後まで暑い熱気に覆われ、暖房が止まっているのにハンスは、「暑い、暑い」を連発していた。

セミナー終了後、無暖房<小規模多機能介護サービス>施設の事業主体となる(株)タカネヒューマンサポートの設立祝賀会に招かれた。6月にイエテボリ市を訪れた茅野商工会の重鎮や関係者が、ハンスを招待したのだ。茅野市長や市の関係者が一堂に会し、長野県における無暖房住宅の門出を祝った。
6月の「美味しい料理とべっぴんさんが歓迎するよ!」との約束が実行され、深夜までハンスはご機嫌だった。

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投稿者 sotodan : 2005年12月09日 17:13