「今川祐二のハンス・エーク同行記」第12回 札幌から東京へ

3月3日(木)

千歳空港待ち合わせ羽田空港に向かう。

千歳空港で出発を待つ間、パッシブハウスの資料をハンス・エーク氏に見せた。インターネットで検索した資料だが、ヨーロッパ各国の取り組み方を紹介した物だ。
もちろんハンス氏の無暖房住宅も掲載されている。
ハンス・エーク氏は目を通し、自分の掲載を自慢げに指をさした。
また、無暖房住宅の額写真を見せ、『私の仕事場に掲げている』事を話すと大変喜んでくれた。

羽田空港に着いた。
宮坂専務理事と堀内事務局長は次の仕事の為、空港で別れ、ハンス・エーク氏、友子さんと私は、宿泊先の浅草ビューホテルに向かった。
ホテルにチェックイン後、夕刻まで各自部屋で休む事にした。

夕食前ホテルの喫茶店で8月のイエテボリ視察の打合わせと無暖房住宅のポイントなどについて話すため、ハンス・エーク氏、友子さん、堀内事務局長と私の4名で会った。


名刺 汎巣英育(ハンス・エーク)

先に、来日直後ハンス・エーク氏の日本名で名刺を作る約束していたが、今日出来上がり、堀内事務局長からハンス・エーク氏に手渡された。
名刺には、ハンス・エーク(汎巣英育)と書かれていた。
外断熱推進会議の皆さんがハンス・エーク氏に敬意をもって
日本語表示を考えたものです。
また、同じ日本語表示のゴム印もプレゼントされた。
ハンス・エーク氏は大変喜び、早速私達3人に名刺を配った。

打合わせを始めるとハンス・エーク氏の携帯電話が鳴った。
相手は、ロシア大使館の人で、リンドースの無暖房住宅の見学の件とのこと、予定を手帳に記入していたが、手帳は今後の予定でいっぱいだった。
ハンス・エーク氏は、無暖房住宅で一躍時の人となり、ヨーロッパ・アメリカ等での講演依頼が殺到しているとのことだ。
今回も忙しいスケジュールを割いての来日と聞いていたが
それを再確認し、時の人の講演を同行出来た事を今更ながら
感謝した。


講演を振りかえって

ハンス・エーク氏が堀内事務局長に質問した。
『今回の私の講演はどうでしたか。』
堀内事務局長は、『大変良かった。予想以上の効果があった。』
と答えた。
その理由について、堀内事務局長は、
今までの講演と違い、建築関係者以外の人達が感心を持ち、高断熱普及の啓蒙に繋がった。
各講演会に出席していただいた、社会的オピニオンリーダーがハンス・エーク氏に関心を持ったこと。
以上2点を挙げた。
ハンス・エーク氏は大変嬉そうに微笑んだ。
長期に亘り日本を縦断し強行日程の中、講演の成果を評価してもらい、充実感と安堵感を持った様だ。

そしてハンス・エーク氏は言った。
『実験的無暖房住宅を早く日本に造り、温度測定などを
行うべきだ。そうすれば、日本の人達が無暖房住宅を体験
できる、リンドースまで来なくて済む。』と笑いながら
話した。

そして建設に向けた注意点を、リンドース無暖房住宅で実際に行った手法として話してくれた。
教育打合わせ(意匠設計、構造設計、建築物理、設備設計、施工計画、エネルギー設計以上の関係者が打合せること。)設計計画段階をさす。
本設計後建設実施を行う。
出来た建物を評価する。
情報を提供する。
竣工前には品質検査を行うこと。

そして、こちらから図面をもらえばアドバイザーとして図面を見てくれるとまで言ってくれた。
日本に無暖房住宅が誕生する日が、見えた瞬間だった。


夕食時,てんぷら屋にて

雷門前のてんぷら屋さんで夕食をとった。
お酒を勧めると、ハンス・エーク氏は帰国後に予定されている24時間ボランティア演奏会に備えてお酒を断つと話しアルコールを取らなかった。

てんぷら屋さんは、老舗で店舗が古いため、繁華街に面した窓は、木製の引き違い窓で一重の単板ガラスで、鍵はネジ式のものだった。
それを見てハンス・エーク氏は、『熱が自由に出入りするね。』と言って鍵を操作していた。

『日本の建物は、夏を主体に造る事で進化してきた。』と話すと、『今日もこんなに寒いのに、それは間違っている。断熱は寒さと暑さの両方に効果が有ることを教育すべきだ』と話し、『でもこの鍵は、気密を上げるのには効果的だね』と笑いを誘った。
『スウェーデンでは断熱・気密の徹底が行われて良質な建物が、造られている事が、羨ましい』と話すと、
『スウェーデンでも防湿シートを破いてしまう電気工もいる。スウェーデンでも全員が物事を知っている訳ではない。だから、先程話した設計計画段階の教育が重要なのだ。』と言った。

店を出ると、みぞれ混じりの雨が降っていた。
堀内事務局長とは、店の前で別れ3人はホテルに帰る事になった。
友子さんと私がホテルの方向を確認していると、ハンス・エーク氏が『こっちだよ』と手招きしている。
彼は、チェックイン後この界隈をすでに廻った様だ。

スウェーデン人のハンス・エーク氏を先頭に、友子さんと私の日本人は彼の後に付いて、ホテルに戻った。
ホテルのロビーには、雛人形が飾られていた。
日本の女子のお祝いだと知り記念撮影を希望した。
ハンス・エーク氏にも2人の娘さんがいる。
浅草三社祭の神輿前でも、写真を取り各自の部屋に戻った。

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雛人形とハンス氏

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三社祭の神輿前で


<次号に続く>


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投稿者 sotodan : 2005年09月06日 00:35