「今川祐二のハンス・エーク同行記」第13回 札幌から東京へ

3月4日(金)

今日は朝から雪だ。
今時期の東京での雪は珍しいと言う。
異常に、暑い夏や時期はずれの台風、そして遅い春。
地球温暖化はどんどん進んでいるが、やはりその影響かなと
思った。

朝食は和食にした。
食事中にハンス・エーク氏が食堂に入ってきた。
ハンス・エーク氏も最後の食事は、日本食にした様だ。
この2階の和食堂には、庭園がある。
雪をかぶった庭園の木々が庭の美しさを引き立てている。
ハンス・エーク氏も雪の降る和式の庭が織り成す風情にしばらく見惚れていた。

ハンス・エーク氏と一緒に食事をとるのも、今日で最後になる。今日の朝食にも納豆が付いているが、ハンス・エーク氏は手を付けなかった。
来日して最初の朝食で納豆の味を経験し、日本で最悪の食べ物と評価した納豆だが、その味はハンス・エーク氏の良き思い出になることだろう。

上野から成田行きの列車に乗るため、タクシーで上野駅に向かった。ハンス・エーク氏の目に、雪の東京はどの様に映っているのか。

ハンス氏は言ったことがある。
『確かに日本は便利で豊かかもしれない。
でもそんな事はたいしたことじゃない。
その中で失ってしまった物の方が大きい気がする。』

日本の現状を見透かされ、高い所から発せられた言葉に重みを感じた。
本来の豊かさは、物の豊富さや、表面上の豊かさでは無い事。
建物の脆弱さを見て、社会基盤の根底がしっかりしていない日本の全てを見られた結果の言葉と私は受け取った。
日本に発せられたメッセージは重い。

ハンス・エーク氏からの教訓

ハンス・エーク氏からの教訓を思い出した。
宿泊先ホテルの部屋をでる時は、照明をすべて消して出ましょう。(限りあるエネルギーは大切に、料金内の物でも浪費はいけない)
ハンス・エーク氏は照明を消すのが癖になっていると言った。
断熱材を有効活用し省エネにつなげましょう。(断熱材はエネルギーロス対策に大変有効だ、もっと活用すべきだ)
北南に関係なく断熱材を使う有効性に気が付くべきだ。
知識の安売りはしない。知識はビジネスと直結している。
(講演後に群がる、業界人の人達に対して)
 教えるのは良いが、役立ててくれるのかが心配だ。
見栄の日本人と中身のスウェーデン人。
(衣食住の国と、家、バカンス、車の国)
物を大切に、長く使う。(ハンスのカメラとカメラバックを見て)
(ハンス・エーク氏使用のカメラはキャノンA‐1だった。
私のAE‐1は物入れで眠っている。)
化石燃料は再生できないので良いエネルギーとは言えない。(循環型エネルギーを使用することが大切だ)

無暖房住宅の設計者 ハンス・エーク氏の言葉や行動のすべてが、究極の設計に繋がっているように思える。

成田空港にて

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成田空港にてハンス氏と私

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成田空港にてハンス氏,友子氏,私


成田空港で出国の手続きを進めるハンス・エーク氏は心成しか嬉しそうだ。長い日本旅行を無事終え、ようやくスウェーデンに帰れる気持ちが現れている。
出国の時間はまだかなり先だが、ハンス・エーク氏は出国ゲートに入っていった。
長い列に並んでいる時は、悲しそうなジェスチャーをしていたハンス・エーク氏だが入り口に入ると、振り返る素振りも見せず行ってしまった。
そのあっけなさに、3人は顔を見合わせ苦笑した。
それがかえって、遠い先で同じ考えを持つ同僚として認め、時期が来れば再会もあるよと言っている風でもあった。

講演の成功、無暖房住宅を日本に知らしめるに至ったことは、スウェーデンに帰った後、ハンス・エーク氏にとっても今後重要な意味を持つと思う。
そして、ハンス・エーク氏の無暖房住宅は日本の住宅にどんな影響を及ぼすのか、日本の住宅改善に大きな足跡を残す事に成るよう期待し、その意思を引き継ぐ思いが湧いてきた。

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出国の列に並ぶハンス氏


終り


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投稿者 sotodan : 2005年09月10日 03:17