そもそも『外断熱』とは 廣口征男
2005年6月20日
NPO法人 外断熱推進会議理事・関西支部長
廣口征男
ユーザーからの問いかけ
とある一般のユーザーからの問いかけ、 「外断熱の家とか最近よく聞きますが外断熱って何なのですか?」 あなたならどう応えますか? おそらくその方のイメージには木造(または鉄骨造)の戸建モデルの展示場や折込みチラシに謳われた『外断熱』の3文字がベースにあることは会話のプロセスで容易に想定できた。「いやあれは「外断熱」じゃなくて「外張り断熱」なのですよ。あなたの認識は間違っていますよ」と水を掛けてしまいますか?
次に予測される反応が来たときの、私の答が充分には用意できていないための戸惑いがあった。
「じゃあ、あれは消費者を惑わす嘘の誇大広告になりますね・・・」
この素朴な疑問に、あなたならどうしますか?
一般の人の素朴な問いかけに専門家として単純に応えてあげることの難しさを味わった。
裏を返せば専門家が自ら組み立てた理屈を正しく社会に浸透させていくためには、しっかりとしたキャッチコピーを一般の人(ユーザー)向けに準備しておくことの重要さを改めて思い知らされた一幕でもあった。
「外断熱」の定義
現時点における「外断熱」のオーソライズされた定義は次の通りである。 日本建築学会の定義によれば JASS 24 断熱工事(建築工事標準仕様書・同解説)「外断熱工法」は外壁や屋根などの構造体の屋外側に断熱層を設ける工法で、構造体の熱容量や熱伝導率の大きい鉄筋コンクリート造・組積造建築での内断熱工法と区別して使用するとある。 また「外張り断熱工法」は在来木造・枠組み壁工法・鉄骨造等熱容量の小さい躯体の外側にボード状の断熱材を使って断熱層を設ける工法であり、同躯体の柱間に断熱材を充填する工法を「充填断熱工法」と称している。上記の定義を否定する訳ではないが、外断熱・内断熱・外張断熱・充填断熱工法などの呼び名は一般のユーザーには大変解り難いし、また室内住環境との関連性においても夫々の違いの実像が掴み難いことも事実であろう。
一方現状においては、『外断熱工法』が従来の方法に比べて大変優れた工法であるというイメージを伴って、躯体の如何を問わず普通名詞として使われてしまっているのが実情である。
いくつかの関係団体では学会の定義に忠実にその区別を、明確に打ち出して一般に理解してもらうための努力を続けておられる事もよく承知している。
にも拘らず、と言う事になるのだが、一般の認識と専門家の認識のズレをどうするのか、これは放置したままで過ごせる問題ではないと考えている。
危惧すること
私が一番危惧することは、しっかり計画された「外張り断熱」までもがいわゆる『外断熱』に比べてワンランク下というイメージで看做されてしまう・・・、あまり好ましくない状況にあるということである。あのハンス・エーク氏の無暖房住宅だって基本的には「木造外張り断熱+充填断熱+断熱補強」なのである。
現状の社会通念で『外断熱』が省エネ・健康・快適・高耐久住宅の代名詞的な意味合いで人口に膾炙されている現状を、是とするか否とするかは両論あると思われるが、私はここで敢えて「是」とする私見を述べたい。
現実的にはいわゆる「外断熱」も「外張り断熱」もしっかりした断熱層と防湿層を設けることによって省エネ性・快適性・高耐久性を実現できることに変わりはない。
仮説の提案
学会の定義とはいささか異なるが、視点を変えて水蒸気(熱を含む)を主役に置いた仮説を唱えてみたい。 一つの考え方として、外壁の構成要素の中で水蒸気が最も通り抜けにくいところ(コンクリート造ではRC壁、木・S造では室内側の防湿気密フィルム)の屋外側に一定の基準以上の断熱層を設ければ立派な『外断熱工法』である、と定義づけることが出来るのではないだろうか。(勿論開口部を閉じたときの気密性等は配慮すべき要件ではあるが)大切な構造体である躯体(RC造ではコンクリート、木・S造では柱・梁・壁)が外気温湿度に左右されず、室内温湿度に同調するシステムであれば『外断熱工法』であるという大枠の括りの方が、一般消費者に余計な誤解を与えないで済むのではないだろうか。
そして、次のステップとして、RC造と木造・S造の違いについてはRC造の方が躯体の蓄熱量が木や鉄に比べて遥かに大きいので、外断熱の効果がより高まるという論理的な整理をしてみては如何であろうか。
要するに、環境面においても快適性においても優れものである『外断熱』の住宅が、より広く早く国内に普及することが、地球にも国家にも住まい手にとっても大事なことであり急務であるとするならば、言葉の定義の問題では無いと思われるのだが・・・。
蛇足ではあるが、日本の住宅の大半は木造なのである。
EIPCの活動として、全ての構造体を対象にしたいわゆる『外断熱』の基準性能を取りまとめ、日本型『外断熱』の正常な定着をリードしていくことが、新たな役割として見えてくるのではないだろうか。
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投稿者 sotodan : 2005年08月23日 02:44
