理事就任にあたって 北島 謙

外断熱推進会議 理事 北島 謙

建築への道
「東京で死にたい」という生粋の江戸っ子の祖母に連れられて、宮城県の疎開先から東京渋谷の自宅に帰って間もなく、「東京大空襲」に遭いました。

当時米軍の空襲が激しい時期で、空襲警報が鳴る度に、庭に掘った防空壕に逃げ込むのが日課になっておりましたが、その日は「大本営発表」により、所定の場所へ避難する様警告されました。当時近所にあった東京教育大学(現筑波大学)体育学部のコンクリート製体育用具倉庫が避難場所になっており、大勢の人が避難しました。倉庫の外では高射砲の音が鳴り響き、皆恐怖に震えておりました。突然祖母が私の耳元で「もう家は焼けているかもしれないよ。」とつぶやくのを聞き、私は悲しくなりました。
長い避難時間が過ぎ、空襲警報解除のサイレンが鳴り、我々は憔悴して家路をたどりました。家に帰ってみると驚いた事に、我が家は焼けずに毅然として建っているではありませんか。我が家の近所だけ辛うじて焼失を免れたのです。木造平屋建ての小さな家ですが、あの時ほど我が家をいとおしく思った事はありません。この感動が私を建築の道に導いたのかも知れません。

設計事務所
1年浪人して早稲田大学建築学科に入学、昭和38年に卒業後、約40年間設計業務に携わって参りました。その経験から感じる事は、日本人は建物を建てる時、設計事務所に相談する習慣が少ないと言う事です。住宅の場合は工務店又はハウスメーカーに、ビルの場合は建設会社に直接相談するケースが多いのです。これは日本人の国民性と、設計事務所の力不足に原因があると思います。我々に設計を依頼される方の中に、設計施工に物足りなさを感じた方と、過去に設計施工でトラブルを経験された方が多いのですが、設計と工事は分離する方が、安くて高品質のものが得られるという考えを最初からお持ちの方は少ないようです。

本来、設計事務所と建設業者は良い建物を造ろうと協力する訳ですが、業者の体質によっては、必ずしもうまくいくとは限りません。良心的な会社、利益最優先の会社、技術力の乏しい会社等色々ですから。従って、設計監理という業務はいかに経験と能力と忍耐力が必要か御理解頂かなくてはなりません。

外断熱
外断熱を基本とした「省エネルギー化」は、地球規模から考えても必要な事であり、私もその方向を目指して設計活動を続けたいと思っております。特に住宅、共同住宅、病院、老人施設などについては、結露によるカビの影響が大きく、出来る限り設計に盛り込みたいと思います。しかしながら、既存建物の改修については慎重を要します。遠からず大規模地震発生の可能性がささやかれる今日、人命を守る観点から耐震補強が優先されるのは止むを得ません。設計上耐震補強が不要と思われる建物でも、工事記録を精査し、安全を確認した上で外断熱工事を行うべきでしょう。お金を無駄にする事になりますから。

さて、最近私は会う人毎に外断熱の必要性を説明し、とりあえず「外断熱からはじまるマンション選び!」を読むように説得しております。又、可能性がありそうな物件も出てきておりますので、皆様に良い報告が出来る事を楽しみにしております。
以上


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投稿者 sotodan : 2005年08月23日 02:40