第4回 「最初に良い家を建てることの重要性」堀内 正純
1998年8月にフィンランド・スウェーデン・ドイツを訪ね、外断熱の実際とその理論的な背景である建 築物理を学び、以降1999年2月、2000年6月、2002年9月に大学、研究所、行政機関を訪ね理論 と実際について調査研究を重ねてきました。
2003年1月23日より2月4日まで、NPO外断熱推進会議の企画により北海道から九州までのメンバ ーと第二回スウェーデン・ドイツ外断熱調査を実施しました (ツアーの詳細にについては、ホームページやセミナーにて紹介いたします)。
数度にわたり、スウェーデンやドイツなどの国々を訪問し、大学や研究機関、実践家、建設関係者との会話 を通じてたどり着いた答えは、 これからは「長く使える良い建物を建てること」が重要であり、 建築関係者は、良い材料を選び、しっかりした施工を行うこと、 消費者は、最初の投資費用が増えても孫や次の世代に引き継ぐ建物を建てることを求めることでした。
これまで行政が言い続けてきた、「外断熱は内断熱に較べコストが1割から2割高い、選択するのは 消費者の判断」ではなく、「情報の開示と国民の将来を考えたストック型<外断熱>建築の実現」が求 められ、外断熱工法の採用を含めた、持続可能な社会を実現するには「消費者に正しい情報を提供し、賢 い判断を仰ぐ」ことが必要となります。(外断熱が全てではありません。建築物理による建築のチェック体 制が確立されることにより、国民が安心して居住できる性能と環境が保証されます。) NPO外断熱推進会議には、「外断熱工法」の実現を通して目指すべき社会のあり方を、マスメディア、セ ミナー、出版等を通じて国民に知らせる役割が求められています。
コンクリート建築における内断熱工法から外断熱工法への転換は、断熱工法の内から外への転換に止まるこ となく、高性能な開口部(窓・ドア)、高性能な換気システム・冷暖房システムの一般化、さらに居住床面 積・容積の拡充に繋がります。その結果、新築・建替え需要のほかに、既存建築の改修需要、コンバージョン 需要をつくり、経済の活性化と雇用の創出に結びつきます。
国民の健康と幸福な社会つくりに貢献しようとする<環境断熱関係>企業はその役割をさらに強めます。
NPO外断熱推進会議の任務は、
国民には「正しい情報を提供し」、
行政には「新築RCの外断熱への転換を求め、既存RCの外断熱改修の推進を」、
銀行には「正しい高性能な外断熱建築に対する融資期間を50年とすることを求める」 ことです。
NPO外断熱推進会議が「認証」する正しい外断熱建築は、建築後50年を経過してもその価値を失うことな く、これまでの宅地に近い恒久的な評価を得て「いつまでも資産として使用・賃貸・売買できる価値をもち続 けます。
以上の内容を整理すると
1. 100年以上の長期間に渡る耐久性と使用可能性を持つ外断熱工法によるコンクリート建築は、10〜 20%の初期コスト上昇があっても購入者=国民や社会にとってはプラスになる。(よい商品がその価値 を評価される。)
2. 初期コストは高くても「最初に良い建物を建てる」と、30年〜40年後の資産内容では、消費者は その差額を取り戻し、結果は得をすることになります。
外断熱工法の採用による断熱工事のコスト上昇分は5〜6%程度ですが、外装材の選択、開口部の性 能向上、高性能な換気・冷暖房システム、コンクリート強度、階高(容積)のアップなど必要な対策を 講じると10〜20%の初期コスト上昇になります。
「日本では30〜35年で返済しなければならない住宅ローン制度が、耐久性があり経済的・合理的な建 て方を阻害している」と言っても過言ではありません。
※売却価格はその後のメンテナンスとコンクリート強度や階高(容積)により決定されます。
3. 行政及び銀行が「正しい高性能な外断熱建築に対しての融資期間を50年とする」と決断すれば、 初期コスト上昇分」があっても外断熱工法は全国に普及します。
外断熱工法が「国民の健康と幸福な社会つくりに貢献し、経済の活性化と雇用の創出に繋がる」とい う国民のコンセンサスを盛り上げましょう。
4.「内断熱と同じ金額で、外断熱を!」と考えると、「低廉で間違った<とりあえず外断熱>」に繋が り、内断熱建築と同様スウェーデンの100万戸計画や旧東ドイツで画一的に建てられた「<外断熱> 建築」のように大規模な改修を必要とします。
「最初に良い家を建てること」の意味は、「消費者が建物に必要な性能を勉強し、材料と工法を吟味 し、良い設計者=業者を選択し、必要十分な費用をかけて建築する」ことです。
100年耐える建物は、30年で解体される建物と異なり材料や工法など初期費用が重要になりま す。建物の性能と費用について消費者への情報開示が無ければ、消費者は価格と宣伝だけで建物を購入 してしまいます。
欧州に遅れること30年、大量消費とスクラップ&ビルドで来たわが国が、1億数千万人の国民の生命と生 活を保障するためには、省エネ(コストがかからない)でストック型社会=持続可能な社会への転換を図るこ とが早急に求められており、市場においては環境と社会に貢献する商品がその価値を認められ流通することが 必要です。
いま、「長く使える良い建物を建てること」は、間もなく到来する高齢化社会において身体的、経済的に弱 者の立場を強いられる国民にとっては救済の手段となり、行政にとっては増え続けるエネルギー消費に歯止め をかけ、国際的な公約であるCO2削減に繋がるものです。
産業界においては、外断熱工法への取り組みは新築建築の実現だけでなく、99%の内断熱で建てられ廃棄 されるのを待つコンクリート建築の外断熱改修という新しい産業を生み出し、需要と雇用の創出につながり、 経済的な効果をもたらすことでしょう。
いますぐ、内断熱から外断熱へ転換することが求められています。
堀内正純
NPO外断熱推進会議事務局長
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投稿者 sotodan : 2005年08月12日 04:39
