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2005年04月16日

「今川祐二のハンス・エーク同行記」第3回 東京から長野へ

2月22日(火)

朝ホテルで朝食をとる。
バイキングの食材を選んでいると、ハンス氏が食堂に入ってきた。
洋食が少なく、日本食を選ぶハンス氏。
食材の味覚が解らない様で、手当たりしだい持ってきた。
醤油をかけ、美味しそうに食べていた。

しかし、納豆は気に入らなかった様だ。
その後の朝食でも、納豆は食さなかった。

今日は移動日になる。
東京駅から新幹線あさまで長野に向かう。
東京駅で宮坂理事、堀内事務局長、友子・ハンソンさんと落ち合うので、ホテルからタクシーで有楽町駅前に向かう為、ホテル前でタクシーを止めた。

タクシーのトランクに荷物を積み乗込もうとした時、ハンス氏はやおら右後部ドアを開けようとした。
運転手さんがあわてて、NO、NOを連発、朝の交通量の多い時間帯で、あわや事故になるところだった。
交通事情が、スウェーデンと違う事を忘れていた様で、タクシーに乗り込んで、ハンス氏は苦笑していた。

ハンス氏がカメラフィルムとコンセント変換器を購入したいとの希望で、有楽町のビックカメラに寄る。
フィルム売り場は解ったが、売り場で何か問いかけるが、意味が解らず売り場の人に聞いてもらうと、ポジタイプのフィルムが欲しかった様で、無事購入できた。
スライドにして、帰国報告などに使うのだろう。

有楽町から東京駅までは、山手線で向かう。
通勤ラッシュ時間帯を過ぎているので、あまり混んでなく、ラッシュ体験は出来なかったが、天井付近の広告の多さに目を奪われていた。
東京駅で、宮坂理事、堀内事務局長、友子・ハンソンさんと合流する。
ハンス・エーク氏は何にでも興味をもつ。
時間があると、付近を散策したりする。
新幹線の待ち時間中も、駅ホーム内をカメラ片手に歩き廻っていた。
足の状態もまだ悪いようで、歩行訓練も兼ねている様だが、発車時間が気になる事もあつた。

新幹線あさまで、長野に向かう。
車中からの景色もそこそこに、プレゼンテーションの確認を堀内事務局長と始めた。

ようやく終わり、雑談の中に宿泊先のホテルについての感想は、暖房がダクト型の温風方式の為、室内に風が巻き起こり不快なこと、窓が開けられず(危険防止)大変暑かった事、朝窓ガラスが結露でべしゃべしゃだった事を話し、日本のホテルは環境が悪いと印象を述べた。
ハンス氏がビールを口にするころ長野に到着した。

綿半鋼機(株)の宮下部長が長野駅まで出迎えてくれた。
昼食は信州そばを食べる予定を組んでいたが、ハンス氏は、ピーナッツ系の物にアレルギー反応があるため、そばも心配だった。


信州そば屋の前で

老舗の信州そば店に入ると、古風な店構えをハンス氏は気に入った様子で、土足で小上がりに上っだ。
小上がりに席を設けたが、足の痛いハンス氏にとってはこれが難敵の様だが、足を伸ばすことで本人は了解する。

ハンス氏は箸の扱いが上手だ。
昨年暮れに、韓国で開催された国際ソーラーシティ会議に招かれているので、「滞在期間中箸を使う事でなれた」と本人の談。
そばのアレルギーも無い様で、美味しそうに食べていた。


バスのハンス氏(いつも窓を開けていた)

食後、宿泊するホテルのマイクロバスで、善光寺見学に向かった。
車中でも、盛んに「暑い暑い」を連発し、一人窓を開ける始末だ。
善光寺では、日本の社寺仏閣には興味が有るようで、建築家本来の顔があった。


善光寺の大香炉に線香を入れるハンス氏


善光寺のハンス氏、友子さんと

次は小布施町に向かいました。
小布施町は、葛飾北斎が滞在し、小布施の文化サロンとなった高井鴻山の隠宅『ゆう然楼』がある町です。
それを町が記念館として、廻りの建物も古い町並み風にして再現した『町並み修景事業』としているところです。


善光寺のハンス氏、友子さんと

北斎館を見学した。
北斎の作品を見たハンス氏は、大変興味もっているようでした。
記念品売り場では、北斎の絶筆画と言われている[富士越龍](ふじこしのりゅう)の掛け軸絵を購入していた。

町並みを見学後、宿泊先に向かう。

そこで、アクシデント発生。
マイクロバスが、T字交差点でエンジントラブルを起こし、エンスト状態になったのです。
郊外の道とはいえ、夕方の帰宅時間になるため、徐々に交通量が増え、バス後方には車の渋滞が発生してきました。
そこで、全員出動して車の誘導にあたりました。
ハンス氏はその行動に感動したらしく、車から降りて誘導風景をカメラに収めていました。

その後、代替バスがきて乗り換え、無事ホテルに向かいました。

翌日の講演に使用する機材購入の為、途中総合家電店に立ち寄る。
店の中でファンヒーターを見つけたハンス氏は、「これは暖房機か? こんな物を室内で使用したら室内空気が汚れるのではないか? 内部燃焼機材が室内で使用できる空気はどのようにして、確保するのか?」と私に質問してきた。
「長野や東京その他でも、この暖房方式がほとんどで、全室暖房は行われていない、断熱も100ミリ以下で気密や換気についてはあいまいな状態です。」と答えると断熱・気密・暖房の遅れを再認識したようだった。

宿泊先は、湯田中温泉『よろずや』で、創業200年を越える老舗旅館です。
本館より松籟荘という昭和14年(1939年)に完成した木造数寄屋造建物に通された。新館からの接続部の、内玄関の上がり框は屋久杉の一枚板で、廊下床板には欅の一枚板など、今では入手出来ない素材をふんだんに用い、贅を尽した造りです。
ハンス氏はこの建物が大変気に入った様子でした。

ハンス氏の部屋は、本間10畳+次の間4.5畳+踏込み2畳+書院+広縁+ヒノキ風呂+トイレといった部屋で、「この部屋で、独りで寝るの?」と質問。
しかし、内風呂があるため後でゆっくり入れると気に入っていた。
夕食前にお風呂に入った。
ハンス氏を誘い、大浴場に向かった。
ハンス氏に、大勢で入るお風呂の経験はあるのか? と聞いたところ、サウナの習慣があるとのことだった。
浴槽に入って間もなく、ハンス氏の姿が見えなくなった。
湯煙もひどく、気が付かなかったが、ハンス氏には暑い風呂には入る習慣が無く、暑い温泉が苦手の様だ。
部屋にもどっていたハンス氏に聞くと、後で低温水にして内風呂に入るとのことだった。


湯田中温泉のハンス氏

夕食は、大広間で綿半鋼機さんの2名を含め、全員で行った。
足が痛いハンス氏には、座台を用意してもらった。
席につくと、縁側越しに見える庭を、珍しそうに見ていたが、建物の感想を聞くと、
「部屋の暖房は、温風式ラジエター方式で室内に風が巻くため不快である。」
気密性の悪い引き違いの建具と、単板ばかりの窓ガラスの採用に疑問を感じると共に、パワーによる暖房方式の不経済性をのべていた。

投稿者 sotodan : 20:52

2005年04月07日

第8回外断熱技術セミナー「WUFI(ヴーフィー)セミナー Vol.2」のご案内 終了しました。

昨年7月7日(水)に開催して好評だった、非定常の熱湿気同時移動解析計算ソフト“Wufi(ヴーフィー)”を紹介する、「第8回外断熱技術セミナー」を下記の内容で開催いたします。
内容的には、昨年7月のセミナーと重なる部分もございますが、フラウンホーファー建築物理研究所より2名の講師とお茶の水女子大学の田中辰明博士が講演します。


第一回WUFIセミナー 会場の様子


非定常熱湿気同時移動解析計算ソフト WUFI
  • 日 時 平成17年4月7日(木)
    17時30分開場 20時50分閉会
  • 会 場 東京都港区芝公園3丁目5番8号
    機械振興会館 B3-2会議室
  • 参加費 有料(会場費、資料代)
    会員(IT会員を除く) 5,000円(会場費・資料代)
    非会員         10,000円(会場費・資料代)
  • 参加申込方法
    郵便番号、住所(会社・自宅)、勤務先、役職名、FAX番号、年齢、Eメールアドレスを記入の上、メールまたはFAXにて外断熱推進会議宛に申込み下さい。
    参加申込書PDF60KB
  • セミナー・スケジュール(予定)
    17:30     開 場・受 付
    18:00     開 会
    18:10〜18:50  「ドイツの最新住宅事情とWUFIの役割」
    お茶の水女子大学生活科学部教授 田中辰明博士
    18:50〜20:30  「WUFIを用いた建物の熱・湿気シミュレーション」
    フラウンホーファー建築物理研究所(IBP)  Daniel Zirkelbach、田中啓輔
    20:30〜20:45  質疑応答
    20:50     閉 会
WUFIは、自然の気候条件下における建築部材の温度・湿気挙動を様々な実験により検証されたコンピュータプログラムを用いて正確に予測し、コンピュータ上に温度と湿気の挙動断面を映像で表し、熱と湿気の動きを正確に計算する非定常熱湿気同時移動解析計算ソフトです。

http://www.hoki.ibp.fhg.de/wufi/wufi_frame_e.html
フラウンホーファー建築物理研究所・日独外断熱(そとだんねつ)セミナー
東京・国際連合大学セミナーの記録VTR及び関連資料を当日会場で販売いたします。
■東京・国際連合大学セミナー記録VTR (上下2巻 10,000円 税込 送料別)
■フラウンホーファー建築物理研究所・日独セミナーのパワーポイント映像
(白黒コピー・日本語版 2,000円 税込 送料別)

投稿者 sotodan : 02:37

2005年04月05日

ist-magazine(イスト Vol.1) 編・著 山岡淳一郎

「欧州の共同住宅再生と外断熱」

平成15年10月21日から11月1日まで実施され、 NPO外断熱推進会議企画による「第三回スウェーデ ン・ドイツ外断熱調査ツアー」の報告が「外断熱は日本のマンションをどこまで変えるか」の著者・山岡淳 一郎さんの編・著によりist-magazine(イスト Vol.1) として発刊されました。

主な内容
「欧州の共同住宅再生と外断熱」
(スウェーデン)
「壊さず、生かす」〜「団地再生」プロジェクト
(ドイツ)
建物再生と外断熱の「いま」〜空港ビル建築と穀物サイロの大コンバージョン
-- contents --
03〜04  ストックホルムの都市計画と団地再生
05〜06  1930年代のアパートをモダンに増改築
07〜08  工場&事務所をホテル風「学生寮」にコンバージョン
09〜11  文化遺産を「居住権つきアパート」に大改造して分譲
12〜15  無個性なアパート群を多様に再生「ロービィ団地」
16〜19  「無暖房住宅」への道程 建築家ハンス・エーク氏インタビュー
20〜21  イェーテボリ郊外リンドースの「無暖房住宅」
22〜23  ハードと「共同体」を並行して再生「ゴードステン団地」
24   LCCO2と断熱素材 26~29  ドイツ規格=DINと空港ビル工事
28〜29  港の穀物サイロをオフィスに用途転換
30  「フンデルトヴァッサーの住宅」も外断熱
31〜32 エピローグ 1158年に建てられて「ホテル」は語る
ist-magazine(イスト Vol.1) 編・著 山岡淳一郎 発行 ist編集室(定価 800円税込)
「体感」から時代を開くワンテーマ・マガジン、イストVol.1を800円で頒布いたします。

申込先

〒105-0011 東京都港区芝公園3丁目5番8号 機械振興会館407号メカトロ団体内
 特定非営利活動法人外断熱推進会議「イスト」係
ご希望のかたは、住所、氏名、郵送先をご記入のうえ郵送料(200円)込みで1.000円を同封 いただくか、郵便振替口座:口座番号 00170-2-481389 特定非営利活動法人 外断熱推進会議に1.000円(1冊につき)をお振込み下さい。
まとめて入手をご希望のかたは事務局にお問合せ下さい。

投稿者 sotodan : 02:40

2005年04月03日

「今川祐二のハンス・エーク同行記」第2回 ハンス・エーク氏来日

成田空港にて

2月21日(月)ハンス・エーク氏が来日した。通訳の友子・ハンソンさん、堀内事務局長、今川の3人で成田空港に迎えに行く。

飛行機の到着が1時間位遅れていた。

赤いスーツケース、革の肩掛けのかばん(カメラセット キヤノンA-1)、書類入れ用茶の革かばん、バイオリンケース、黒のトレンチコート、赤い毛糸のロングマフラーそんないでたちで、到着ゲートから出てきた。

東京駅からEiPC事務所へ向かう


東京駅構内でハンス・エーク氏

成田エクスプレスで東京駅へ、東京駅から芝公園のEiPC事務所へ、タクシーで移動する。日比谷公園を横断し、内堀通りに出て皇居前を通る。友子・ハンソンさんが盛んにスウェーデン語で説明している。ハンス氏は来日に合わせてデジタルカメラ(キヤノン)を購入してきた様だが、操作不慣れの為車内からの撮影に手間取っている。私のカメラを貸すと、付近を撮影していた。


タクシー社内からハンス氏が撮った写真

私は、廻りに見えている建物がすべて内断熱や無断熱で在ることをハンス・エーク氏は何処まで知っているのだろうか。そんな事を考え彼を見ていました。

EiPC事務所に着き、早速、セミナー用のPowerPoint画像のチェックを行った。ハンス氏の希望でホテルに入るとそのまま寝てしまいそうなので、事務所に直行し作業を行った。パワーポイント画像の英語文を日本語に直し、解釈や表現を確認しながら作業は2時間位掛かった。


ハンス氏は内断熱の問題を紙ナプキンに書いて説明

EiPC事務所でのハンス氏

ハンス氏は足が痛い様だ。エコノミークラスの狭い機内での長旅で、足が自由にならず、歩行も出来なかったため、左ひざが痛いと話している。打合せ中も、盛んに、事務所内を歩行しながら状態を確かめている。

それと、「室内が暑い」と洩らす。EiPC事務所の窓は開閉出来ないため、我慢している。我々は慣れているせいか、あまり感じないがハンス氏は暑がっている。この言葉は、行く先々で何回もハンス氏が洩らす言葉になる。

来日初日が終わる

夕食は19:00頃になった。新橋の居酒屋『北海道』で日本食を食べてもらった。好き嫌いは無く、箸の扱いもうまく、食事中、「窓から見えるビル群も全て内断熱ですよ」と言う堀内事務局長の言葉に信じられない様な顔をしていたハンス氏だった。

今日一日、時差を克服して最後までお付き合いしてくれたハンス氏と共に、宿泊先ホテル愛宕山東急インに着いたのは、夜の9:00ごろだった。

投稿者 sotodan : 20:54

2005年04月01日

「今川祐二のハンス・エーク同行記」第1回 ハンス・エーク氏との出会い

はじめに

無暖房住宅の設計者ハンス・エーク氏との出会いは、2002年1月に実施された、NPO外断熱推進会議主催の第二回「スウェーデン・ドイツ外断熱調査ツアー」に参加して、スウェーデン第二の都市イエテボリ市を訪れた時でした。無暖房住宅については、本当に無暖房なのか半信半疑であり、どの程度のものかくらいの感じで望んだ視察は、実物を見ることで一変してしまいました。

リンドース地区の団地に着き、一般住宅(スウェーデンハウス)を横目にして進むと奥手側に無暖房住宅が建っていました。

東京駅からEiPC事務所へ向かう


リンドース地区の住宅地内一番奥にあるが無暖房住宅

黒と一部小豆色の外壁、赤茶色の屋根瓦、黄色い窓枠と玄関ドア、2階バルコニーはガラスの腰壁で、廻りの一般住宅と比べると色や造りが斬新です。さらに、連棟型(タウンハウスタイプ)の2階建てのため、堂々とした振る舞いに見えました。


無暖房住宅南面バルコニー側


無暖房住宅北面玄関側

無暖房住宅の性能基準

無暖房住宅の設計者のハンス・エーク氏より
・南面屋根に付く太陽光給湯パネル5m2により年間給湯使用量の50%をまかなうこと
・各部の断熱厚さは、屋根部分48cm、壁部分43cm、床部分25cm
・窓のU値は0.85W/m2K、ドアのU値は0.80W/m2K、の各性能値であること、特に窓は、特殊なガスを入れる事で、性能がUPされていること
・台所に設置されている熱交換換気扇は、1時間に0.5回の全室量の換気を行っていること
などの説明を受けました。


配置などの説明をするハンス・エーク氏


パネルを使って説明するハンス氏と通訳の友子・ハンソンさん


無暖房住宅の換気システムと太陽熱の入射を示したボード

前日のスウェーデン・ルンド大学における、アーネ・エルムロート博士からのレクチャーで、現在スウェーデンの断熱基準では壁の断熱厚さは270mmであることで、驚いたばかりだが、無暖房住宅のさらに厚い断熱に一同驚愕した。どこまで、断熱すれば無暖房住宅になるのかは、建築家であればだれでも知りたい事だ。


高性能な窓の説明に一同ビックリ

究極の住宅こそ、無暖房住宅だから

しかし、いざ無暖房住宅を試みるとなると、自信が無いのが本音だと思う。裏づけが無ければ、またあっても失敗は出来ないから。

これはすごい、本物だ。こんな家を、北海道に建ててみたい。私の率直な感想だった。

それから2年、無暖房住宅については、ホームページに視察した事を述べるにとどまり、自分で手掛けるなど考えもしませんでした。

NPO法人外断熱推進会議が、ハンス・エーク氏を日本に招き、講演会を行う事を知ったのは、2004年の暮れの事でした。無暖房住宅について、直接確認出来るまたと無い機会と考え、無理を承知で滞在期間中の同行を外断熱推進会議に希望し、実現しました。

投稿者 sotodan : 20:55