Vol.007 参議院国土交通委員会

2002年6月4日 参議院国土交通委員会
民主党・新緑風会、池口 修次 委員

- 池口修次君
民主党・新緑風会の池口でございます。
マンション建替え円滑化法案につきまして御質問をさせていただきたいというふうに思いますが、冒頭、先月の末に諸先輩の御理解と御配慮をいただきまして、日本の国会とEUの議会との定期交流会に参加をさせていただきました。その際には、委員会の欠席というか差し替えについて委員長の大変な御配慮をいただいたことをまず感謝を申し上げたいというふうに思います。
会議の中身、ここで全部報告しますと五十分を過ぎちゃいますので、質問の趣旨が生かされませんので、ポイントだけ言わさせていただきますと、今EUが非常に統合に向けて着々と進めているというふうに感じました。その一番大きな理由は、やはりこれからの世界がどういう構造になっていくのか、EUとしてはやはりアメリカ一極体制になるということに対して大変な懸念を持っているというふうに感じました。そういう面でEUも頑張っておりますし、日本に対してもそんな観点で、是非景気を回復しながら世界の中でのポジションを確実に占めるようにというのが今回の議論の中心ではなかったかというふうに思っております。
会議以外にも、いろいろな町を見させていただく中で感じたことがありました。今回見させていただいた町はベルギーのブラッセルとゲント、それとスウェーデンのヘルシングボルグという町を見させていただきましたが、それぞれの町、非常に歴史のある町でございました。多分、中世の時代からの建物が見事に保存をされておりますし、電線等についても全く目に触れないという中で、多分地中化がされているんだろうというふうに思います。やはりそういう町を見させていただきますと、非常に落ち着いた雰囲気を私自身も感じることができました。
これからの日本のまちづくり、建物の材質が違いますのでヨーロッパと同じようにするというのは難しいかというふうに思いますが、やはり今回のマンションの議論にしましても、耐久性というのは平均すると三十年だとか四十年ということになっておりますが、やはりこれからの二十一世紀の環境の時代等も含めまして、もう少し日本のまちづくりというのを検討すべきではないかというふうに私は感じておりますけれども、この点につきまして扇大臣の御所見がありましたら是非お聞きをしたいというふうに思います。
よろしくお願いします。

- 国務大臣(扇千景君)
池口委員がベルギー等々大変歴史と文化を大事にする国々を御視察になったというこ とで、お感じになったところは大であろうと思って、私も共感をいたすところでございますし、私もああなればいいなといつも念じてはおりますけれども、正直申し上げて、単に戦後今日まで日本は経済活動あるいは生活の場ということであくせくとしてきたという感は免れぬというところでございますので、調和の取れた美しい町並みとか、あるいは優れた歴史、文化を大事にするということは忘れ去られがちであったと言わざるを得ないと思います。
そういう点では大変残念だと思いますし、また我々反省点も多々あると思いますけれども、少なくとも戦後今日まで我々が再建をしてきました日本の中で、平成十年に全部調査をいたしましたところ、現在建築されているものの中で九六%が戦後に建てられたものであると。住宅の総戸数が四千三百九十二万戸でございます。その中で戦後に建てられたものが四千二百二十七万戸、今申しました96%。
ですから、今おっしゃったように、考えてみますと、あらゆる面で、戦後に建てられたものですから、今、議員がおっしゃったように、電柱の地中化、これ一つ取ってみましても、少なくともロンドン、パリは100%電柱の地中化が達成されています。日本では、現在東京都区だけ見ても達成率3%なんです。ほど遠いという感がなきにしもあらずですから、私は、そういう意味でも、今後我々は二十一世紀、先ほども吉田議員からもお話がありましたように、老齢化社会を迎えてバリアフリー等々を考えるときに、まちづくり、そういうものはすべて今の世界の水準に、せめて半分まで達成できるぐらいを目標に我々二十一世紀考えていかなければいけないという、そういう立場に立っているというのが今、国土交通省としての立場でございますけれども、今後、多くの建築物が機能更新とかあるいは建て替え時期を迎えているというのは、今私が申しました数字でも、やっぱり戦後の粗悪、あるいは粗悪までもいかないまでも、何とか雨露しのいでということで建てたものが多いものが更新時期になっているということは事実でございますので、そういう意味で今回のマンションの法案というものも出させていただいた次第でございますけれども。
近年の地区計画あるいは美観地区、景観条例などの手法を活用した良好な町並みをしようということで、ちょっと例を少しだけ挙げさせていただきたいと思いますけれども、これは、改めて地区計画ということで、国土交通省としても、皆さん方が御存じのとおり、この間の経済財政諮問会議に私も出席いたしまして、今後国土交通省としてどのように日本の町並みを良くしていくかということ、今、池口委員がおっしゃったように、歴史と文化を大事にしようということで、例えば東京の日本橋、これは少なくとも国の重要文化財に指定されながら、上に高速道路が二重に入っておりまして日本橋が分からないということで、これも、日本橋は五街道の拠点でございますし、伝統の歴史、文化の出発点でございますので、これを、上の高速道路を両側の、川の両側にビルを建ててその中を高速を走らすということで今の日本橋を回帰しようと、昔に戻そうというようなことも国土交通省としては計画をしておりますし、また、東京駅の正面、皇居に向かって、御存じだろうと思いますけれども、各国の大使は就任されたときに今でも馬車に乗って陛下の信任を仰ぐということで、これは昔、行幸通りと言われておりました。けれども、その馬車に乗られる、今でも伝統を守っているわけですけれども、その行幸通りがいつの間にかタクシーの駐車場になってしまったというようなこともございますので、こういうことを一つ一つ私たちは歴史と文化を大事にする町並みというものに、今、池口委員がおっしゃったように少しでも、一歩でも二十一世紀近づいていこうと、そのように今後努力したいと思っていますし、その目標達成のために老朽化というものを再建する今回の法案の提出になっている次第でございます。

- 池口修次君
大変積極的なお話を伺いまして、是非それが実現するまで頑張っていただきたいなというふうに 感じている次第でございます。
あと、法案につきまして御質問をさせていただきますけれども、多少通告からちょっと順番を変えさせていただきまして、まず今回の法案を、私もこのマンションの建て替え円滑化は是非進めなきゃいけないというふうに思っております。ただ、やはりせっかくの法律ですから実効ある中身にしたいというふうに思っておりまして、そんな観点で少し何点か中身を確認をさせていただきたいというふうに思います。一部、吉田委員の質問と重なるところがあるかというふうに思いますが、御容赦願いたいというふうに思っております。
まず第一点目に、建て替えがスムーズに今までいかなかったわけでございますけれども、なぜ建て替えがスムーズにいかなかったというふうに国土交通省としてとらえていらっしゃるのかというのをまずお聞きをしたいなというふうに思います。

- 政府参考人(三沢真君)
マンションの建て替えは、これはやはり中に住まわれる方がそれぞれ非常に異なる 生活事情を、あるいは経済事情を抱えておられる、そういう中でその合意形成を図っていく必要があるということ。あるいは、権利者が非常に多数にわたり、しかも大きな建物であり、またそのいろいろな技術的な知識も要るという、そういうことで、本来的には区分所有者自身の努力に、自助努力で進めるべきものであるといいながら、なかなか難しい課題があるということでございます。
それで、特に建て替えに当たっての制度的な問題として指摘された点は、一つは、建て替えをやりましょうということで区分所有者がみんなで建て替えをやる場合でも、そういう区分所有者の集まりに対しまして法人格が付与されていない。そういたしますと、例えば建て替えのためにいろんな工事を発注するために、例えば建設会社と契約を結ぶというのにしても、だれの名前で結んだらいいんだろうかというような問題があると。それから、従前の建物を除却するために、これは一回、従前の建物、例えば抵当権が付いていればそれを抹消いたしまして、また再建後のマンションにそれを設定するということが必要でございますけれども、そういうことがなかなかスムーズに進みにくい。それから、登記の問題というのがかなり大きい問題でございまして、非常に多数の権利関係のものを再建後のマンションにもう一回設定し直すということについて非常に手続が煩雑であるというような幾つかの制度的な問題が指摘をされております。
それからさらに、当然やっぱり建設費用の問題がございまして、例えば高齢者の方々等にとって建設費用の負担が困難な方もいらっしゃるというような問題。それから、いわゆる既存不適格といいますか、建て替えようと思っても、容積率が例えば不足することによりまして従前と同じような床面積を確保することがなかなか困難であるというような問題点も指摘されております。
それから、これはやはり元々建て替え決議そのもの、区分所有法の建て替え決議そのものに起因する問題といたしまして、先ほども法務省の方から御答弁ありましたけれども、やはりその建て替え決議の要件がどうも必ずしも明確でない、このことが例えば後々のいろいろな紛争につながっているというような指摘がございまして、いろいろ申し上げましたが、こういうようないろいろな問題点があるということでございます。

- 池口修次君
今の点につきまして、調査室からいただいた資料によりますと、確かにもう合意形成なり手続上 の問題はあるんですけれども、一番大きいのが建て替え費用負担困難な区分所有者がいるというのが七一%で、工事期間中の仮住居の確保が五七%という資料をいただいております。
やはり、今回、特に法律案ではいろいろ法人格を付与するとかいう形で手続上の問題についてはかなり踏み込んだ改正がされているというふうに思いますけれども、この建て替え費用の困難な人がいるという状況は改善がされていませんし、今の状況からいうと、ますます将来不安でお金を使える状況じゃありませんし、更には建物の値段も下がっておりますので非常に難しい状況になっている、困難度合いというのは更に進んでいるんじゃないかというふうに思います。
やはりこのところを改善をしないと、場合によっては、今回、四分の三で建て替えができるという決議があるわけですけれども、この四分の一のところに負担が行ってしまうんじゃないかというふうに懸念をしているわけでございますけれども、この点については、個人の住宅だから難しいということの答弁になるかもしれませんけれども、本当にそれで済む話なのかなというふうに思っております。是非この点についての対応をお聞かせ願いたいというふうに思います。

- 政府参考人(三沢真君)
マンション建て替え事業について、正に先生おっしゃいましたように、個人の財産 でございますので、基本的にはその建て替え費用はそれぞれの所有者が負担すべきものということはございますけれども、ただやはり、御指摘のとおり、これを円滑に進めるという観点からは、建て替えに参加される区分所有者の方々の経済的な負担をやはりできるだけ軽減していくといういろいろな資金面の措置等が必要だというふうに考えておりまして、今回、この法制度と別に、予算、税制等の措置によりましていろいろな支援を行うこととしているところでございます。
具体的には、例えば資金面の支援といたしましては、優良建築物等整備事業という事業に基づきまして、調査設計計画費であるとか除却費であるとか共同施設の整備費に対して、これは建て替え事業についても補助できるということにしております。
それからさらに、融資ということで住宅金融公庫の都市居住再生融資制度というのがございまして、これは公庫融資の中で基準金利という最も優遇された条件でこういうマンション建て替えについて融資を行うことができるということとするほか、さらに、これは組合の再開発の促進基金というのがございますけれども、これをマンション建て替えについても建設費等について債務保証を行うことができるというような支援措置を講じることにしております。
それから、税制につきましても、今般の法案の提出に伴いまして、例えば譲渡所得税であるとか登録免許税であるとか、こういう建て替えに伴って例えば地区外へ転出される方のいろんな譲渡所得等々につきましていろんな特例措置を創設しているところでございます。
それから、資金面のそういう支援措置と併せまして、やはり例えば既存不適格なんかで、できるだけそういうものについて容積率緩和ができるようなケースであれば、空地の整備等による市街地環境の整備改善に応じて容積率緩和を行う総合設計制度というのがございますので、その積極的な活用も図られるようにということにしておりまして、こういう意味で、いろいろな支援措置を一方で用意させていただいているところでございます。
別途、その上でさらに建て替えに参加することが困難な方々につきましては、先ほど大臣からも御答弁ございましたけれども、この法律に基づきましていろいろな居住安定措置を講ずるということにしているところでございます。

- 池口修次君
それでは、そういう中身をしても建て替えに参加できなかった人への対応ということでお聞きを したいわけですけれども、建て替えに参加できない人の住居に対しては、今回の法律案の十五条で、「時価で売り渡すべきことを請求することができる。」ということになっておりますが、この時価というのがどういう概念を意味しているのかということと、だれとだれが交渉をしてこの時価という、時価を決めるというのはおかしいかもしれませんけれども、売渡価格を決めるのかというところをお聞きしたいというふうに思います。

- 政府参考人(三沢真君)
この法案に基づきまして売渡し請求という制度を用意しているわけでございます。 これは、建て替えの円滑化の観点から、従来の区分所有法では個々の区分所有者が行使できるというのを、建て替え組合も行使できるということにしたわけでございます。
それで、この場合の時価というのは、したがいまして、元々区分所有法に売渡し請求の制度がございますけれども、その場合と同様に、売渡し請求権を行使した当時における区分所有権、それから敷地利用権の客観的な取引価格であるというふうに解されているわけでございます。
これは、客観的な取引価格であるといっても、更にもうちょっと算定基準を明確化すべきでないかという御議論がございます。これは区分所有法の改正の中でも、法務省の方で御検討いただいています区分所有法改正の中での検討事項の一つということとされていたというふうに聞いておりますけれども、ただ、これはやっぱり非常になかなか難しい点がございまして、やはり事案に応じて時価の評価方法は異なるということから、これを網羅的に算定する基準を法律で決めるというのは非常に難しい面があるということと、それから、やはり現実には、結局、具体の事例の集積等によってこういうものについても解決を図られていくんだろうということから、法務省さんの方の検討の中では、今回の改正で実現は見送られる方向であるというふうに聞いております。
しからば、本当に当事者間で争いがあるときにどうなんだろうということでございます。これはもう非常に一般的な言い方で申し訳ございませんけれども、最終的にはこれは訴訟によって確定するということにならざるを得ないわけでございますが、ただ、私ども国土交通省といたしましては、やはり今後、そういう売渡し請求に伴う時価の算定に関する事例の集積等を踏まえまして、算定基準の標準化など、時価算定の適正化のための措置について、より更に具体的にいろいろ検討していきたいというふうに考えております。

- 池口修次君
ちょっと時価のところにこだわるようですけれども、今までも時価で買い取るという制度は区分 所有法であったということなんですが、今まで話合いというのがスムーズにいっていたのかどうか。いっていれば、それを同じようにすれば特に問題はないかと思いますけれども、この点について、今までどういう形で価格交渉が行われたかというのをお聞きしたいというふうに思います。

- 政府参考人(三沢真君)
ちょっと正確に今まで区分所有法に基づく売渡し請求がどのくらい行使されてきた かということについて、ちょっと資料を持ち合わせないので大変恐縮でございます。
ただ、一般的には、これは元々個々の区分所有者が行使するということになっていますので、時価の問題以前に、そういう観点からなかなか、区分所有法に基づく売渡し請求の行使というのはやっぱり現実的にはなかなか難しかったんじゃないかというふうには考えております。
さらに、しかし今回それを一歩進めて、建替組合によって売渡し請求ができるということになりますので、当然、売渡し請求の制度の積極的な活用というのが望まれるわけでございますので、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、やはり今後の具体的な事例の集積等を踏まえながら、そういうのがある程度客観的にみんなが分かりやすいような、何かそういう算定基準の明確化等についてもいろいろ検討していきたいというふうに考えております。

- 池口修次君
今までにも余り例がないと。
先ほどのお話ですと、最終的には裁判、訴訟だということになりますと、この売渡しがスムーズに行われないと建て替えの行為に移ることができないわけですから、長期間裁判をしているといつまでたってもマンションの建て替えが進まないと。そうすると、せっかく法律は作ったんだけれども意味がないということになることが懸念をされますし、なかなか建て替えに参加できないという人は、先ほどの理由でいきましても、なかなかその費用が用意できないと。
以前の、今までスムーズにいったのは、うまく建て替え計画で、余り費用の持ち出しをしなくてもできるところがスムーズに建て替えができて、これからのマンションの建て替えのところはかなりの費用を捻出しないと建て替えに参加できないというふうに聞いております。
そういう、ある意味お金がなかなか用意できないという方たちは、ある意味、言い方をすれば弱者の人たちで、そのところがかなりの無理が来ないような、そしてお互いが納得できるような価格交渉ができるような仕組みを作らないと、私は法律を作っても心の通った法律にはならないんじゃないかというふうに考えておりますが、この点について再度お聞きをしたいというふうに思います。

- 政府参考人(三沢真君)
これは、いろいろな民事法の世界の中で時価というふうに決めている例がいろいろ あるわけでございます。それで、ただその時価とは何かというのを、これを例えば法律等で定義するというのはやっぱり非常に難しい点があるかと思います。
これにつきましては、もちろん最終的にはその訴訟の中で争われるものであるにしても、その場合に、やはり両当事者がお互いにある程度の指針とすることができるようなデータであるとか考え方の集積、これをきちっと図っていくということが必要だというふうに考えておりますので、そういう当事者間のいろいろの交渉事の判断指針となるような、そういう一つの算定基準ができるだけ明らかになるような、そういう方向についてできるだけ私どもも検討をしていきたいというふうに考えております。

- 池口修次君
是非、今回の建て替えの円滑化がスムーズに進むような方策を是非これからも引き続き検討をお 願いをしたいというふうに思います。
それと、先ほど吉田委員の質問にもありましたけれども、居住安定の確保に関する措置ということで、公営住宅への入居若しくは特定公共賃貸住宅への入居だとか、高齢者向け公共賃貸住宅への入居、市町村借り上げ住宅への入居ということで何項目か項目が挙がっているようですけれども、本当に入れるのかという心配が先に立つわけですけれども、今これらの住宅の空き状況というか、入れる可能性というのはどの程度おありなのかというのをお聞きをしたいというふうに思います。

- 政府参考人(三沢真君)
この事業に伴いまして、今、先生御指摘のとおり、この法案の第九十条で居住安定 の確保に努めなければならないというふうに決めておりまして、そのための支援措置として、先ほど大臣からも御答弁申し上げました、例えば公共団体による住宅のあっせんとか公営住宅等の公共賃貸住宅への優先入居等々の支援措置を定め、実施するということにしているわけでございます。
この空き状況がどうかということでございます。当然のことでございますけれども、例えば公営住宅なりあるいはいろんな公共住宅、これについては常時空いているという状況があるわけではございませんで、やはりその地域の中で非常にニーズが強い、応募倍率も高いという中でそれぞれ運営されているわけでございます。
そういう中で、じゃ今回こういう居住安定措置を講じても本当に入る余地があるのかというお尋ねかと思います。これは、正にそれぞれの公共団体がその地域の需給関係の中で見まして、結局いろいろな制度があるわけでございます。既存の公営住宅ストックもございますし、それからいわゆる特優賃、高優賃という制度もございますが、更に今回これを、こういう居住安定措置を強力に推進するということから新しく都市再生住宅制度というものを設けまして、こういう措置の強化拡充を図っております。これは、こういう居住安定措置のための住宅として民間住宅を借り上げる方式、これに対しましても国等から助成ができるということにしているところでございます。
したがいまして、こういう制度も用意していますので、もちろん既存のいろんな現在ある住宅も活用いただきますし、必要に応じてこの新しい都市再生住宅制度を活用するということによりまして、公共団体がこういうものに積極的に取り組んでいただけるように私どもも必要な支援をしていきたいというふうに考えております。

- 池口修次君
もう一点お聞きをしたいと思います。
危険、有害な状況にあるマンションの建て替えについて市町村長が勧告をすると。法律の文章を読ませていただきますと、勧告に基づいてマンション組合が計画を提出をし、その計画に基づいて、市町村長は安定化の件も含めまして認めるかどうかというのを許可を出すというような仕組みではないかというふうに理解をしておりますが、そこのところがいまいちちょっと分かりませんで、勧告は危険な状況に応じて出すわけですけれども、勧告を出しておきながら計画が不備だから実施がしないというケースがあるのかないのか、この点をお聞きをしたいというふうに思います。

- 政府参考人(三沢真君)
今回の建て替え勧告の制度でございます。
この建て替え勧告制度は、老朽化が著しく防災上危険又は衛生上有害な状況にあるマンションについて、居住者自らの意思に基づいて建て替えが行われるようこれを積極的に促すという制度でもございますけれども、この制度と関連して、先生が御指摘の居住安定計画の認定という仕組みがございます。
これは、居住安定計画の認定というのがどういう法律上の効果があるかといいますと、一つは借地借家法の特例、それからもう一つは公営住宅への特定入居といいまして、特定入居というのは要するに公募によらないで入居させることができるという、そういう法律効果をこの認定に対して与えております。それとの関連において、したがって、そういう法律効果を与える以上は認定についてある一定の要件を満たしているかどうかをきちっと判断させていただくという仕組みになっているわけでございます。
じゃ、その場合に、こういう要件を満たさないために認定がなされないような場合はどうかということでございますけれども、これはこの法律の中で、一つは勧告されたマンションについて、これは認定が仮に行われていなくても、市町村長、市町村は代替建築物の提供又はあっせんに努力する義務を有するという規定を置いております。これによりまして建て替えの円滑化を図れるような措置も講ずることができるわけでございます。
それから、この居住安定計画のような借地借家法上の特定措置は、そういう法律効果はないけれども、それ以外の事柄として、先ほどから申し上げている法案第九十条の基本方針に基づく、居住安定計画に基づく措置に準じたいろいろな居住安定の措置も、これも講ずることが可能でございますので、したがいまして認定がなされなかったら直ちに建て替えが進まないということではない。それに対しては一定のいろんな措置が講じられるような仕組みになっているということでございます。

- 池口修次君
やはり元々危険、有害ということを認定して勧告をするべきですから、私は勧告をした人はやっ ぱり建て替えをスムーズに、建て替えができるように実施をする義務というのは私は持つんだろうというふうに思っております。
その中で、居住安定を望む人は市町村長に要請ができるという文章があって、この要請に対してどの程度のこたえる義務があるのかというのはちょっと書かれていないわけですけれども、一方で、認可の条件として、生活環境が著しく変わるような場所ではいけないと。例えて言えば、子供の学校の問題だとか就職、仕事の関係で余りにも遠くのところに行ったんじゃ意味がないということで書かれているというふうに思いますが、これは私はかなりきつい要件だというふうに思います。
ですから、そこのところは当事者、マンション組合との話合いだけでは私は済まないというふうに思いますし、やっぱり市町村長が相当の部分要請にこたえるというところを重きを置いて面倒を見ないと、なかなかその計画というのは作れないし、結果として有害、危険という認定をしながらそれがなかなか建て替えられないというサイクルも私は心配しているわけですけれども、そういうふうにならないのかどうかというのをもう一回お聞きをしたいというふうに思います。

- 政府参考人(三沢真君)
先ほど申し上げましたように、居住安定計画の認定という仕組みがなぜあるのかと いうことは、一方でこの認定の結果として、通常のマンション建て替えであれば、例えば借地借家法上の特例まで置いていないわけでございますけれども、認定があった場合には借地借家法上の特例であるとかあるいは公募によらないで公営住宅に入居させることができる、こういう法律効果を与えているところから、そういう一定の要件に合致するということを審査させていただくと、こういう仕組みになっているわけでございます。
ただ、これは一方で、そういうことについて公共団体がどういう努力をしていくかということと当然パラレルなことでございまして、この認定要件の前提として、例えば、先ほど申し上げましたように、公共団体が国の助成制度としての例えば民間借り上げもできるような都市再生住宅制度というのがございます。そういうものも活用していくということも含めてこの認定要件に合致しているかどうかというのを判断していくということになりますので、当然、何といいますか、公共団体の方がそういう努力をしないでそのままの条件で合っているかどうかという判断するというよりは、そういういろいろな具体の居住安定措置の努力と一体的にこういう認定制度が運用されていくものというふうに考えております。

- 池口修次君
何点か質問させていただきましたけれども、やっぱりこの法律ができたから私はすぐスムーズに 建て替えが進むというふうにはどうしても理解ができないというふうに思っております。やはり、その中で、先ほども言いましたように、どの程度借り上げ、買上げに対して、話合いについてうまくサポートするかということなり、安定化についても地域によって相当ばらつきがあるんではないかな、やはりそれについてどう配慮をしていくのかということなりを相当フォローをしていかないと建て替えは進まないんじゃないかなというふうに懸念をしております。
是非そんな観点で、法律について私も反対するつもりはありませんけれども、是非これについて今後のフォローなり国土交通省としての詳細にわたった検討を引き続きお願いをさせていただきたいというふうに思っております。
今回のマンション建て替えについては以上の質問にさせていただきますが、もう一点、じゃ、これからのマンションというのを、冒頭の扇大臣に対する質問とも関連するんですけれども、これからのマンションを日本の場合どうしていくのか。三十年、四十年で建て替えるマンションをこれからも造るのかどうかということについてお聞きをしたいというふうに思っております。
一部お聞きをしましたら、国の方でも百年もつマンションづくりを検討をされているというふうにお聞きをしました。この百年もつマンションづくりについて、どのように考えて、どんな検討が今されているのかというところをお聞きをしたいというふうに思います。

- 政府参考人(三沢真君)
百年もつようなマンションづくりということでございます。それで、やはり私ども も、今後のマンション建設に当たっては、やはりできるだけ長期にわたっていいストックとして活用可能なものにしていくということが非常に大事なものであるというふうに認識しております。
そこで、できるだけ長もちするマンションが供給されるというような観点から、一つはいわゆるスケルトン・インフィル住宅ということの技術開発、普及促進を行っております。御承知のように、構造躯体とその内装とを分離いたしまして、構造躯体の方はもう非常に高い耐久性を持って長もちする、内装の方はある程度可変性を持って変えていけると、こういうようなスケルトン・インフィル住宅の技術開発等を行っております。
それから、住宅金融公庫の融資の中でも、やはり耐久性というものを一つの要件にいたしまして、融資に当たってそういうものについて相当の配慮をしているということと、それから、一つはそういう耐久性というものが消費者の目にある程度きちっと分かって、それで市場の中でも評価されていくという仕組みが非常に大事でございます。そういうことで、住宅性能表示制度の中でも、そういう例えば耐久性に関する表示であるとか劣化を遅らせる対策とか、あるいは維持管理のしやすさ、こういったことについても表示して、消費者に対する情報提供を行うというような施策に取り組んできたところでございます。
特に、スケルトン・インフィル住宅につきましては、かなり今までもいろいろな技術的な検討を重ねてきたわけでございます。スケルトンとインフィルの例えば設計の在り方の問題であるとか、あるいはどういう施工条件かとか、そういう技術的な課題の整理とか、それから当然、分離した場合に、例えば登記の問題であるとか、やっぱり制度的な問題があり得るわけでございます。そういう具体的に進めていく上での事業仕様の検討等を今までも進めてまいりました。
これまで、例えば具体的には、そういう成果を踏まえまして、都市基盤整備公団においてもそういうスケルトン・インフィル技術を導入した賃貸住宅の建設を計画するなど実地にも移しているところでございますが、今後、これにつきましては、そういうものの成果を踏まえまして具体的なスケルトン住宅の指針というようなものを取りまとめて更に技術開発を進めるということに努めていきたいというふうに考えております。

- 池口修次君
やはりこれからの時代を考えていきますと、ある意味、物を大事にする時代だろうというふうに 思っております。そういう意味で、検討されているような百年もつマンションの方向で是非やっていくべきではないかというふうに考えております。
それともう一点、新しい建築工法ということで断熱の方法でございますけれども、外断熱と内断熱という話を聞いております。ヨーロッパにおいてはほとんど外断熱の方が耐久性なり省エネルギー性も良いということでその方向に向かっているというふうに聞いておりますが、日本においてはまだ内断熱の方が主流を占めているというふうに聞いておりますが、この外断熱と内断熱について、国土交通省としてどのようにお考えになるかということをお聞かせ願いたいというふうに思います。

- 政府参考人(三沢真君)
先生御指摘のとおり、鉄筋コンクリートづくりの住宅などにつきましては断熱の仕 方として、一つは屋外側に断熱材を施工する方法、これを外断熱工法と呼ばれておりますが、それからもう一つは屋内側に施工する方法、これを内断熱工法と呼ばれておりますけれども、そういう方法が二つあるわけでございます。
これは、一般的に申し上げますと、外断熱工法は内断熱工法と比べて躯体の外側に断熱材を施工するということから外気の温度変化が躯体に伝わりにくいということから、一般論としては劣化しにくいという特性があるということは承知しております。ただ、一方で外断熱工法はやはり施工が複雑であるとか、それからコストについても、これ二階以上を施工する場合には足場等を組まなきゃいけないということで、これはやはり割高になるということも一方で言われております。
それからもう一つ、省エネ性能という面から両工法についていろいろな御議論があるわけでございます。省エネ性能という面から見ますと正直言って一長一短でございまして、外断熱は、これはいったん暖めたり冷やしたりしますと、その終了時の後も効果は継続しやすいというメリットがございます。ただ、逆に冷暖房の開始時期にはなかなかすぐ冷暖房効果が現れにくいと。したがいまして、例えば小まめにつけたり消したりするような場合には外断熱というのはすぐなかなかこういう効果が上がってこないというようなことが言われております。
こういう観点から、一概にどちらの工法が優れているかというのはなかなか難しい点がございまして、これはやはり個々の建築物の設計条件によって選択をされるべき問題であるというふうに考えております。  ただ、私どもといたしましては、やはりそれぞれの工法についてこういうメリット、デメリットがあるんだというようなことについてきちっと消費者の方々に分かるような情報提供を図っていくということが非常に大事だと考えておりますので、こういう情報提供につきましてはきちっと私ども今後努力していきたいというふうに考えております。

- 池口修次君
最後に、是非扇大臣にお聞かせ願いたいというふうに思いますけれども、この百年住宅構想、 冒頭で積極的に進めるべきだというような感じを受けたわけですけれども、これなり、ハートフルのときにも議論したわけですけれども、バリアフリーの住宅を積極的に進めるという観点での扇大臣の御所見をお聞きをしまして、最後の質問にさせていただきたいというふうに思います。

- 国務大臣(扇千景君)
冒頭に申し上げましたとおり、戦後の建てたもの、その数と、そしてこれから建て替 え時期になった居住、そういうものに関して、特にマンションは居住者の数も多うございますし、またるる建築法の改正によって従前の面積が建て替えたときにそれだけのものが建てられるかどうかという、そういう要件もございます。  それから、一番、アンケートを取っておりますけれども、今時間がなくなりますから細かくは言いませんけれども、一番アンケートを取って皆さん方が不安に思っていらっしゃるのは、幾ら掛かるかということが一番不安要因として九〇%近くになっておりまして、それが一番不安要因の最大のことでございますので、そういうことの手当てがどうできるか。
また、冒頭に申しましたように、老齢化しておりますマンションの居住者が今後新しく建て替えたマンションに今までどおり居住できるかどうかというそういう、補助率をどうするか、そういうことを、少なくとも今の居住者が不安を持たないような建て替えを順調にしていくということの一番の課題が国土交通省の課題としても残っておりますので、今回の法案によって少しでも居住者が不安を解消できるような手当てをしながら、なおかつ建て替えなければ安全性が保たれませんから、そういうことも含めて諸般の助成あるいは建て替えの順調な振興というものを図っていく。  両々相まって今回の法案の提出になっているということで、今おっしゃったバリアフリー等々も含めて、今後の課題として、我々はそのための法案提出であるということを御認識賜り、御理解賜り、なおかつこれを皆さん方にPRしていくということが大事なことだと思っております。

- 池口修次君
ありがとうございました。終わります。


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投稿者 sotodan : 2002年06月04日 23:21