日欧外断熱フォーラム2016.05 札幌/東京 開催!

日欧外断熱フォーラム2016.05 札幌/東京 開催!

 「EAE(欧州外断熱協会)との日独外断熱会議(2013/01/16)」報告

 
2013年1月16日(水) 外断熱推進会議のメンバーはミュンヘンのBAU2013会場近くのWaffenhalleにおいてEAE(欧州外断熱協会・European Association for External Insulation Composite Systems)と外断熱に関する重要なミィーティングを開催しました。
 

主な議題と討議内容

EAE 欧州の外断熱協会について

②欧州の外断熱施工ガイドラインについて

EITCSの規格化 CENISOについて

④湿式外断熱と火災について

⑤湿式外断熱の瑕疵と対策について

⑥内断熱施工について
  
 
 
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 1月16日 BAU2013会場の前を歩いてEAE(欧州外断熱協会)とのミィ-ティング会場
Waffenhalleに向かう
 
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 Waffenhalle内の会議室
 

1月16()10時~14時までバーデ・バーデンに本部があるドイツ外断熱協会からラルフ・パスカーさん(Ralf Pasker)にミュンヘンにご足労いただき、BAU2013会場近くの会議室(Waffenhalle)において特別講演とディスカッションを行った。事前に依頼しておいた①欧州の外断熱ガイドラインについて②湿式外断熱の防火について③湿式外断熱の瑕疵と対策について④内断熱施工について,これに加え、「EAE(欧州外断熱協会)とETICS(外断熱工法)について」「法律と基準化 CEN(欧州標準化委員会)とISO(国際標準化機構)について」)ご講演いただき、質疑応答を行なった。

 

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 左から田中辰明博士、EAEラルフ・パスカー常務理事、通訳のシェルナーさん

 

 ご講演いただいた内容は、日本において外断熱工法を推進していく過程で重要な問題である。予定時間を超えて14時まで4時間にわたる講義と参加者からの質疑で欧州外断熱の最新の情報を得た。

 

 欧州外断熱協会(EAEEUROPEAN ASSOCIATION FOR ETICS)は、EU加盟国(27カ国)のうち正会員は各国の外断熱協会からなっている。各国の外断熱協会とはオーストリア、ベルギー、チェコ、フランス、ドイツ、イタリー、オランダ、ポーランド、スロバキア、スイス、英国の11ケ国である。その他発泡スチレン欧州協会などの特別会員が4団体ある。正会員、特別会員共にさらに増えていくとの事である。

 EAEの大切なテーマは、標準化と認定ガイドライン、防火対策である。温暖な地域から寒冷な地域を含む欧州の様々な国の知識や経験を共有化している。

 EAEEITCSガイドラインは、欧州各国のすべての経験や知識を集め、異なった気候区でも全員が共有できる技術的なベース(基礎)である。

 外断熱の品質が悪いとクレームにつながり、評判を落とすことになる。外断熱の歴史が浅い国でも、このガイドラインから学び、市場で応用することで典型的なミスを回避する事が可能になる。

 

 EAEガイドラインは、20114月にロンドンで発表され、使用言語は英語である。現在ではチェコ、ポーランド、イタリア、スロバキアの各国語に翻訳されて発行されている。各国で表紙は異なるが、内容は同じである。

 各国の建築家や断熱関係者のセミナーや勉強会でガイドラインが使われ、断熱の意識が高くなっている。

 防火については、ドイツ国内で熱い議論が起きている。欧州各国にはそれぞれの防火に関する法律があり、ドイツにも州の法律と国の法律がある。ドイツにおける火災の90%以上は一つの部屋から発生するが、上階への延焼についてみると外断熱をしていない建物よりガイドラインに基づいて外断熱をした建物の方が被害が少ないのはあきらかである。

 湿式外断熱における瑕疵と対策について、ドイツの気候は涼しくて湿度が高いので外皮に藻類やかび等の発生もある。普通の建物でも起きるが、外断熱建物においては設計上の要因が多く、様々な事例について紹介が行われた。

 そのうえで、「とても良いニュースがあります。われわれは何十年も頑張ってきてETICSが成功した。ドイツでは50年の経験があり、フラウンホーファー建築物理研究所と一緒に様々な経験をして、外断熱(ETICS)を行えば、壁は普通の壁と同じぐらい長持ちすることを保証できます。」と話したのが印象的であった。

 最後に、「ドイツには外断熱ができない建物(歴史的な建造物や隣家と接近している建物など)が二割程度ある。その建物を断熱するには内断熱しかできない。その内断熱についても外断熱(ETICS)協会は指導している。」と熱く語られた。

 予定時間を1時間以上超えて有意義な日独外断熱会議は終了した。

 

 NPO法人外断熱推進会議はEAEの会員ではないが、ドイツ外断熱協会(Fachverband Wärmedämm-Verbundsysteme e.V.)を通じて非常に良好な関係にある。今後ともこの友好関係を維持していく所存である。

 特定非営利活動法人 外断熱推進会議はEAEから特別ガイドラインの翻訳権をいただき、日本語版のガイドラインを作成中で,今後、外断熱建築アドバイザー講習会や外断熱技術セミナーのテキストとして活用してまいります。 

 

  ・外断熱ガイドラインの翻訳
 http://sotodan-npo.org/2013/03/eae.php
 
  ・外断熱建築アドバイザー講習会
 http://sotodan-npo.org/2013/04/post-358.php
 
 
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 EAEはETICSに関連する国もしくはセクターによるヨーロッパの「かさ」の団体であり協会です。メンバーは欧州の11カ国の協会、主な欧州の断熱材協会により構成されています。EAEのメンバーは欧州のETICS市場の約85%を代表しております。
 
 
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 EAEの中心メンバー
 
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 EAE組織図
 
 
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 EAEの施工に関するガイドライン
外断熱推進会議において日本語版を現在翻訳中
 
 
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 外断熱工法を成功させるための4本の柱
1.    設計・計画の質

2.    製品の質

3.    施工の質

4.    システムの概念の重要性

であるとしている。
 
 
 
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 EAEの外断熱ガイドラインは20114月に、ロンドンで発表されました。
最初はオーストリアのバージョンから始まりました。各国の基準で表紙は異なっていますが、内容はオリジナルの内容と同じです。
現在はベルギー、チェコスロバキア、イタリア、ポーランド、イギリスのバージョンがあります。
 
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イタリア外断熱協会のガイドライン
http://youtu.be/pYptgxURPvQ
 
 
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ETICSに使用される様々な断熱材 
 
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使用される断熱材の種別
 
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 標準的なディテール
 
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様々なファスナーの施工
 
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 ETICSの規格化 CENとISO
 
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各国で使用されているガイドライン
表紙は異なるが内容は同じ 
 
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 ETICSと火災に関する説明
 
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ドイツにおける典型的な火災の事例(建物は無断熱)
火災は単室から始まり、12分後に1階がフラッシュオーバー、20分後2階がフラッシュオーバー、
右端の写真は25分後
 
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 二つの防火障壁の方法
 
 
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防火障壁により上階への延焼が止められた
 
 
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様々な防火障壁の施工方法
 
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 EAEのラルフ・パスカー氏から詳細にわたる説明
 
 
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ETICSの耐久性と長期性能を確実にする方法!
外断熱建物は設計や施工が悪いと様々な問題が発生する。
 

ファサードの表面に藻様もしくは菌類の成長が進んでおりますが、これは私たちが100%防ぐことが出来ない自然現象です。

しかし、このリスクを回避するためには、EAEのガイドラインにあるディティールを注意深く見ていくことが必要です。

 
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 外断熱建物外皮の汚れ防止について
 
・雨水との接触を少なくしてください。
・屋根の庇は大きく出してください。
・窓台の水切りは外壁面より20㎜以上突き出してください。
 (推奨寸法:30㎜~50㎜)
・外壁はなるべく乾きやすくしてください。
・外壁から樹木や植物を遠ざけてください。
・日が当たるようにして外壁が乾くようにしてください。
 
 
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典型的な施工ミスの事例 
 
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間違った施工事例~接着モルタルの団子が少なく、接着力が不十分。
この状態では、火災時に煙突効果を生み出す可能性がある。
 
 
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 補強メッシュの施工ミス
 
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右  ファスナー(ジベル)のあと~左 断熱材でアンカースポットを覆う
 
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窓下枠に弾性系シーリングが施工されていなかった事例
 
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庇の出が無いことによる壁面の汚れ 
 
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 ETICSの悪い施工・瑕疵事例をたくさん紹介しましたが、良いニュースがあります。
 
 

ドイツにおける最初の湿式外断熱システムは50年以上前に施工されました。

1970年代以来、ドイツの外断熱協会はフラウンホーファー建築物理研究所と共に実地調査を行ってきました。

様々な外断熱プロジェクトに対して頻繁な現地調査を実施した結果、フラウンホーファー建築物理研究所は「ETICSには最高の長期性能がある」と報告しています。

その結果、ETICS(湿式外断熱システム)のライフサイクルは、断熱されていない(無断熱)の建物のファサードと同じであると言っております。

 

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フラウンホーファー建築物理研究所(ホルツキュルヘン) 暴露試験

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非定常熱湿気同時移動解析プログラム”WUFI"による検証

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フラウンホーファー建築物理研究所の外断熱と建築物理に関する発表論文
http://www2.ibp.fraunhofer.de/japan/literatur/index_j.html
 
下記論文に詳細が記載されています。

Helmut Künzel, Hartwig M. Künzel, Klaus Sedlbauer               

[複合外断熱システムの長期性状]

  翻訳: 田中絵梨(263 KB)   

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内断熱について~ドイツの現状
2020年までに省エネと環境目標を達成すること・・・ 
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歴史的な建物の断熱をどうする
 
 
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複雑な外観の建物を外断熱するためには多くのコストがかかる 
 
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狭い道路 20センチの外断熱施工を行うと通れなくなる
 
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外断熱施工が当たり前であるが、ドイツには外断熱施工が困難な既存建物が20%も存在する。

ドイツ国内には内断熱に対する偏見が多くあるが、ドイツの外断熱協会はETICS(外断熱)を施工できない建物における内断熱について、外断熱協会の業務対象に組み込むことを決めました。 

 

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 ドイツ 外断熱協会が推奨する内断熱システム
 
 http://www.innendaemmsysteme.de/~run/

 
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 WaffenhalleにおいてEAE(欧州外断熱協会:European Association for External Insulation Composite Systemsとの外断熱に関するミィーティング参加者
 
 
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 田中辰明団長とEAEのパスカー氏
 
 
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BAU2013会場における内断熱模型の展示
 
 内断熱の施工映像(YTONG Multipor)
 
http://youtu.be/2kkf8MhPzCY 
 
 
 
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 田中辰明先生と参加者
 
最後に、

NPO法人 外断熱推進会議(EiPC)が発足し、10年が経過した。外断熱工事はドイツで始まり発展してきた。わが国ではその施工経験がなかった事から、見よう見まねで行う事が普通であった。1975年に当時の通産省が主導して行った国家プロジェクト「サンシャイン計画」の太陽熱を利用して給湯・暖房・冷房を行う実験住宅で本格的な外断熱工事を施工した時には使用材料の一部をドイツから直輸入して行った。まさにドイツの工法をそっくり真似るやり方であった。その内に「このように改良すればもっと安く施工できるはずだ!」との意見も出るようになり、わが国でも様々な外断熱が提案されるようになった。しかしドイツで長い時間をかけて確立された外断熱工法はフラウンホーファー研究所で長期に亘る耐候性試験を経て確立されたものである。わが国で頭の中で考え、提案された工法の多くは時間の経過と共にひび割れが入ったり、剥落を起すなどの事故を伴った。どうしても健全な外断熱工法をわが国で確立するには信頼のおける規格が必要であった。

          <中 略>

ドイツにはバーデン・バーデンにドイツ外断熱協会があり、ヴォルフガング・ゼツラー博士(Dr.Wolfgang Setzler)が専務理事として広報活動、ロビー活動など積極的に活動をしておられる。ゼッツラー博士には何回か来日して頂きNPO法人外断熱推進会議の主催で東京、北海道・名古屋で講演も行って頂いた。この事務所に欧州外断熱協会(European Association for External Insulation Composite Systems)も設立され、活発な活動を始めた。201210月25日にフランスのシュトラバーグで第2回の欧州外断熱フォラムを開催した。筆者も招待を受けこのシンポジウムに参加した。このフォラム開催に先立ち同協会は外断熱工法のガイドラインを出版した。筆者(田中辰明博士)は先方と交渉し、NPO法人 外断熱推進会議はその会員ではないにも関わらず、翻訳権を得ることに成功した。これもNPO法人 外断熱推進会議がコツコツと地味ながらも正道を歩み外断熱普及への努力を怠らなかった事が欧州外断熱協会に認められた事によるものと考える。

 

本ガイドラインの前書きには次のように記述されている。

50年ほど前には建物の暖房用エネルギー削減に外断熱工法は非常に重要な工法であったが、最近では暖房用エネルギーをほぼゼロに抑えるためにもこの工法が使用されている。外断熱工法を成功させるには次の4本の柱がある。

 

それは

1.   設計・計画の質

2.   製品の質

3.   施工の質

4.   システムの概念の重要性

であるとしている。

欧州外断熱協会(EAE)のご好意に感謝申し上げるとともに、このガイドラインが活用され、業界のよき手引きとなる事を期待する。

 

EAEの外断熱ガイドライン日本版の翻訳・出版にあたって

     お茶の水女子大学名誉教授  田中 辰明

 

日欧外断熱フォーラム2016 札幌/東京 開催

 

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投稿者 sotodan : 2016年3月21日 10:42