北海道外断熱セミナー報告(その4 パネルディスカッション)

パネルディスカッション司会の堀内事務局長の話のあと、講師以外のパネリストからそれぞれ外断熱体験、外断熱の耐久性について画像を使ったプレゼンテーションが行われました。

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(パネルディスカッション パネリスト)

  • パネルディスカッション
  • ◆司会
  • NPO法人外断熱推進会議事務局長  堀内正純
  • ◆パネリスト
  • 札幌市都市局市街地整備部住宅課課長 大島佳之様
  • 外断熱マンション住人         中井陽子様
  • 外断熱賃貸マンションオーナー     加藤栄吉様
  • ノンフィクション作家        山岡淳一郎様
  • (社)北海道建築技術協会専務理事  長谷川寿夫
  • NPO法人外断熱推進会議北海道支部 藤本哲哉
  • NPO法人外断熱推進会議北海道支部 大橋周二

最初に、札幌市都市局市街地整備部住宅課課長・大島佳之様より「札幌市公営住宅 外断熱事例紹介」が行われました。

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(発表する大島佳之住宅課課長)


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(発表する大島佳之住宅課課長)

大島課長は、外断熱の導入について内断熱との比較、外断熱の利点を話、平成15年以降の実績について説明しました。これまでの実績は、屯田季実の里団地(H15)、下野幌D、E、F団地 (H17~)、幌北団地(H18~)があります。


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(下野幌団地建替計画~今後の建物はすべて外断熱)


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(下野幌団地 外断熱集合住宅)


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(幌北団地建替計画~今後の建物はすべて外断熱)

札幌市では、上田市長のリーダーシップの下、今後の市営住宅では、新築公営住宅の長寿命化のための外断熱、既存建物の修繕、改修の合理化、 断熱性能の向上のために外断熱工法を積極的に採用しています。


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(札幌市の方針 今後について)


次に、小樽市において2006年に分譲された外断熱マンション『ジェルム小樽運河』(設計 (株)北海道地域計画建築研究所 藤本哲哉<外断熱推進会議北海道支部長>)住人の中井陽子様から「外断熱マンションに暮らして」の感想が延べられました。


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(外断熱マンション ジェルム小樽運河)

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(外断熱マンションの部屋のバルコニーから見た小樽の街と海)

中井さんは、購入したマンションが外断熱だとは分からないまま購入しました。当然、内断熱と外断熱の違いについても分かりませんでした。ただ、購入を後押ししたのは札幌の建築士に『ジェルム小樽運河』の設計について相談したところ、建築士のかたが藤本さんの設計であれば大丈夫と言っていただいたことです。それまで住んでいたマンションでは、結露やカビの発生は当たり前でしたが、『ジェルム小樽運河』に引っ越してからは結露やカビの発生は皆無で、室温は1年中大きな変動はありません。冬に室内に洗濯物を干しても結露やカビの問題がありませんと外断熱マンションの快適性について発言されました。

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(外断熱マンション住人 中井陽子様)

中井さんの発言に対して会場から、拍手と称賛の声が上がりました。また、セミナー終了後、マンション管理組合の方から今日の発言内容を戴きたいとの申し出が中井さんにありました。マンションの外断熱改修を実施するにあたって管理組合員に理解をしてもらうには「外断熱マンションに暮らす住人」の声はメーカーや建設会社のデーターより効果がありそうです。

次に、外断熱賃貸マンションのオーナー、(有)カトレア代表取締役の加藤栄吉様から資産性、省エネルギー性から外断熱賃貸マンションについて発言がありました。


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(外断熱賃貸マンション カトレア南郷2)

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(外断熱賃貸マンション カトレア月寒東)

札幌市内の賃貸マンションの空室率は高く、賃貸マンションの経営にとって入居者を確保することが経営にとって重要な問題です。しかし、加藤さんの外断熱賃貸マンションはいつも満室状態で賃借人の評判も高いようです。また、オール電化マンションですが、光熱費は年間平均6,289円(月)と北海道では信じられない金額になっています。加藤さんは、外断熱だけでなく、入居者の利便のために様々な工夫を凝らしています。


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(外断熱賃貸マンションの光熱費)


次に、共催団体である(社)北海道建築技術協会専務理事・長谷川寿夫より「RC造外断熱建物躯体の耐久性」について発表がありました。


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(発表する長谷川寿夫専務理事)

長谷川専務は最初に、外断熱建物の特長(新築)として
  (1) 結露しにくい建物となる
  (2) 室内の温度環境が向上する
  (3) 省エネルギーな建物になる
  (4) 長寿命な建物になる
  (5) 断熱改修が容易である
  (6) 資源保護・地球環境保全に貢献
などをあげ、外断熱の必然性について話しました。

特に、コンクリートの耐久性について、「外断熱で躯体コンクリートは半永久の耐久性を持つ」
1.外断熱されたコンクリートは厳しい屋外条件に曝されることがないため、温度伸縮によるひび割れ、凍結融解などによる傷みがなくなります。
2.外断熱改修をすると、その時点から躯体コンクリートはほとんど傷まなくなります。
3.今、マンションを「終の棲家」と考える方が増えていますが、構造躯体が半永久的な耐久性を持つ建物を手に入れることができるということになります。

二酸化炭素によるコンクリートのアルカリ性の消失→「中性化」について、内断熱も外断熱も変わらないとの議論が一部にあるが、
[内断熱の建物の場合]屋外側からは中性化が鉄筋位置に達すると鉄筋腐食が急速に進行し、コンクリートにひび割れやはく離、はく落が生じ、さらに構造耐力の低下につながる。屋内側からは中性化が鉄筋位置からさらに約2cm進んだ後に、鉄筋腐食が徐々に進行する。(コンクリートの乾燥程度が関係)
内断熱の屋外側コンクリートの場合 かぶり厚さ3cmの中性化年数 → 約65年(ひび割れがある部分では、これより中性化が早い。)
[外断熱の建物の場合]外断熱では屋内側の乾燥コンクリート条件となる。かぶり厚さ3+2cmの中性化年数 → 約150年(乾燥しているので、中性化の進行自体は屋外よりもやや早い。)
なお、腐食始まってもその進行は緩慢である。鉄筋が腐食するには水分と酸素が必要。(つまり、鉄筋周囲のコンクリートが乾燥していると鉄筋は腐食しにくい)

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(結論)

参加者は、外断熱の耐久性に関する長谷川専務の報告に感心していました。

三名のパネリストの報告のあと、どうしたら外断熱(マンション)の建物が北海道(日本)に増えるか!、道や札幌市、国(政府)に求めること!、マスコミに求めること!、マンションデベロッパーや建設会社に望むこと!について会場の参加者からの発言を受けながらパネルディスカッションが進行しました。


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(発言する三宅由美札幌市議会議員)


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(会場からの質問に答える川治正則(社)北海道建築技術協会会長)

会場の声~パネルディスカッションについて
・小樽の入居者の話し、結露カビ無し、特に夏場も快適です。室温は一年中同じです。洗濯物は室内干しです。RC建物の内断熱と外断熱の劣化進行については初めて聞くことなので非常に 分かり易かった。
・住人の方の意見がもっと聞きたい
・外断熱に益々関心を持ちました
・入居者さんの具体的なお話が聞けて良かったです
・一般ユーザーにも分かり易かったと思う
・外断熱の耐久性の良さがわかった(内部と外部の中性化の違い)
・もっと時間を長くしてほしい
・入居者の化のお話は大切な動機づけになると思います。一般の方向けのセミナー大切
・外断熱を広める手段が明確ではないようだ、断熱仕様・性能とエネルギー効率をマンション販売等のチラシに明記するよう義務付けるべきだ
・予想していた以上に外断熱工法が普及していることがわかり意義深かった。躯体の耐久性が大幅に向上することに驚いた。
・住み手かにの話が説得力があり良かったです
・小樽の外断熱マンションにお住まいの方の話しは非常にわかりりやすく、一般ユーザーに対してメリットが伝わったと思う。
・様々なバターンの話しが聞けて勉強になりました
・有意義な機会ありがとうございました。各界各層からの話し、役立ちました。外断熱施工能力を知るにはどんな術があるのだろうか
・活発で楽しかった
・外断熱の海外事情、公共建築、民間マンション、賃貸マンション、RC躯体の耐久性等についての例を出して、パネラーの紹介をしてディスカッションをしたので話しの内容が良く分かった。
・外断の良さは分かるのですが、行政、国の方での考えが進んでいないと浸透しないと思う。

会場アンケートの声~ご意見ご感想があれば自由にお書き下さい
・別途、当マンシヨン管理組合に対して、住民説明会等の場を設けていただけるか否か
・個人的な意見と思いますが、マジメな建築屋さんと悪徳狸工事を行う建築屋との差と考えます。建物を造りたいと思う家主に対して、正しい情報を個人に知らせないで、自分たちの手抜き工事による事が覆い為に、正しい外断熱の建て方を知らせない業者が多すぎるのが原因と、第一に考えられます。
・現在、入居中のマンションの大規模修繕期が近づいており、是非外断熱でと考えていますが、やはりコストがネックなりそうです。補助等があると実施しやすいです。
・外断熱未経験の方の参加の方を多くしていまこうしたセミナーを今後どのように告知していけるかが課題です。
・外断熱のPRをマスコミ含め広く行うべきだ
・外断熱の良さは以前から知識としてありましたが、はっきりと認識できました
・外断熱のメリットがよくわかった。普及に向けて積極的にお手伝いしたいと思う
・普及には行政、建設会社(供給等)、ユーザー、三者の協同が必要、明確な差別化、ユーザーの生の声、マスメディア、外断熱優良マークの制定など

会場での質問とパネリスト、参加者からの回答については整理でき次第掲載いたします。

【連絡先】
特定非営利活動法人 外断熱推進会議 北海道支部
支部長:藤本 哲哉
住所:北海道小樽市緑3-9-10
E-mail: info@sotodan-npo.org

特定非営利活動法人 外断熱推進会議 事務局
住所:〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館407
TEL: 03-3436-4755  FAX:03-3436-0678
URL: http://www.sotodan-npo.org
E-mail: info@sotodan-npo.org

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投稿者 sotodan : 2010年12月 2日 14:58