ISO TC163/SC3 韓国ソウル 参加報告

お茶の水女子大学名誉教授 田中 辰明

建築の断熱に関する国際規格ISO/TC163の 国際会議が2010年6月7日~12日の間ソウル市の 中心部にあるソウル・パレスホテルで開催された。 筆者は断熱材の製品や工法の規格を作成する SC3の日本代表としてこの会議に参加させていただいた。 (ちなみにSC1は試験方法で日本代表は吉野博東北大学教授、 SC2は計算方法で日本代表は赤坂裕鹿児島大学名誉教授である。)


ISO/TC163国際会議
 

派遣団体は日本保温保冷工業会の中にある、断熱保温協会である。 日本からは2006年にこの会議が東京で開催された際に 欧州規格(EN)にある外断熱の規格をISO化し 日本でも外断熱を公の場で認知してもらいたいというものであった。 それ以来継続審議が行われ、3つの外断熱の試験方法に関する欧州規格がISO化された。 2007年の会議には日本からの派遣が取りやめとなり、外断熱のISO化もいったん停滞した。

2008年の南京会議、2009年のチューリッヒの会議で積極的に提案し、 外断熱工法をNWI(新しい検討事項とする)事で、 決議事項(ISO/TC 163/SC3-Resolution 158(Zurich12)となった。 これは単に外断熱のENだけでなく、 米国の規格ASTMも取り入れてISO化をはかると言うものであった。 何回か筆者から議長国のカナダにも問い合わせたが、 決議事項158は実行されなかった。

ドイツのSC3代表はホルガー・メルケル博士であるが、 ソウルに入る前に東京に寄り、欧州の外断熱の最新の情報を レクチャーして頂きたい旨要請した所、快諾を得、 6月7日にNPO法人外断熱推進会議の主催で講演会 ( 講演会の様子はこちら ) を開くことが出来、多くの新しい知見を得ることができた。

ENには調和の取れたEN(これをhENと呼ぶ)とふつうのENがあるそうで、 外断熱のENは反対意見もありながらENになったものだそうである。 これを大方の賛成を得られるhENに改定すべく作業中との事である。 またソウル会議で明らかになったのだがASTMも調和の取れるように作業中とのことであった。 しかしこの作業も今年の7月には終了予定との事である。 日本としては他国で行われる作業を待つしか方法が無いのは寂しいが、致し方ない。


ソウルの街並み 
 

筆者はパク政権時代から何回かソウルに出張した。 当時は今では信じられないが、 JICAという低開発国援助として筆者が韓国に技術指導に行ったのである。

それはクリーンルーム作りや太陽熱利用技術であった。 当時夜間は電気が消え町が真っ暗になり、 また皆麦飯交じりの米を食していた時代である。 その後の韓国のあらゆる部門での進歩は目覚しく、 住宅は立派で、外断熱も進み、架空配線は地下埋設化され、 道路は拡張され、車は右側交通になり、 電気も200Vと欧州並みになっている。

地下鉄の近代化も素晴らしくハングルの分からない外国人も 不便なく利用できるようになっている。 かつ儒教の精神が生きていて、老人が大切にされる。 地下鉄でも若い人が老人に席を譲るのは当たり前、 日本のようにシルバーシートに若い人が座り 携帯電話を操作しているのとかなり違うようである。

筆者がJICAで指導に行っていた頃の受け入れ側の責任者であった 李春植博士が夫人を伴い会議が終了した6月11日の夜、 宿泊していたホテルに出迎えてくださり、夕食を共にし、 旧交を温めることが出来たのは今回の会議の望外の喜びであった。

また当時大変熱心に筆者の講義に耳を傾けてくださり、 質問も多かった洪熙基氏も伴われており、 氏は現在ソウルの大学教授としてまた 空調冷凍学会会長として活躍中との事、これも大変嬉しい再会であった。

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投稿者 hpnew : 2010年6月13日 13:52