第5回欧州視察「スウェーデン・ドイツ団地再生と外断熱の旅」(2004年8月26日~)を終えて(その3)

これまで2回にわたり連載してきた「スウェーデン、ドイツ、団地再生と外断熱の旅」チームの視察の様子ですが、今回が最終回です。


ハンブルグにて

9月1日は移動日で、ハンブルグのホテルに入り各自自由に行動ということになりました。ハンザ同盟の色濃く残し、美しい街並みが印象的な所です。アルスター湖畔を歩いて市庁舎へ、翌日からの視察に思いを巡らしメンバーは自由時間を過ごしたのではないかと思います。
 2日は先ずハールブルグ港にある1930年に建設された高さ55mの円筒形の貯蔵庫12本が束ねられた穀物サイロを、その原型を残しながらコンバージョン、外断熱化してオフィスビルとした建物を視察しました。地元紙の取材を受け翌日の紙面を飾りました。私はこのビルの説明を聞いた後、隣のビルに興味を感じて外へ出ました。レンガのビルで壁から木が生え、窓ガラスも割れている所が散見されるような古い建物ですが、再生計画が壁面に掲げられていたのです。スウェーデンでも尋ねたのですがいずれの方も「建物は壊さないのが原則」と言われたことを再確認した思いでした。

サイロのコンバージョン

次に工業団地の現場へ行き外断熱の現場を確認、ルールブルクのショッピングセンターで昼食をとってSTO社のハンブルグBranchを訪れ、会社の沿革、製品の特性などについて説明を受けました。その後ノイエアラモエの外断熱工事現場を視察しました。湿式の集合住宅で既に完成している建物にはロシア人が多く住んでいることと、近辺のサッカー練習場の女性チームの基本を繰り返す練習風景が印象に残っています。

ノイエアラモエ団地の外断熱工事現場

翌3日は公共機関を利用しての視察となりました。先ずフェッデラー橋通りの1925年から1931年に建設された集合住宅の外断熱改修現場を訪れました。ここは改修が済んだ建物、改修中の建物、改修前の建物が並び、改修中の家では断熱材の貼り付け現場をじっくりと見ることが出来ました。元々の厚さ36センチのレンガ躯体に湿式の120mmの外断熱を施し、景観保持のため擬似レンガで外装しているのです。室内の改装も床材はまだ50年は使えるということでそのままとし、出来るだけ旧来の良いものは残す方針が貫かれていることがわかりました。担当者に質問をすると、新築に要する費用を100とした場合、75以下で出来るなら改修をし、壊さないのが原則との答えが返ってきました。窓周りはロックウールとしているのは昨日のノイアラモネで質問した際の答えと同様に、火災の時溶けて落下するのを防ぐためとのことでした。

フェッデラー橋通りの外断熱改修工事現場


外断熱改修工事現場での集合写真


再び電車に乗りレッパーバーンで下車、昼食をとった後街中から公園の中にあるアパート街を抜け、ハンブルグ港へ出ました。都市計画が進められ活気に溢れている倉庫街、ザンクト・パウリ近辺の外断熱マンションの建築現場をじっくりと見て回りました。実に良く皆長時間歩いたことと思います。その後バスに乗り、市庁舎前で解散、夕食前にロビーでミーティングを行って今回の旅の総決算を行いました。
翌日は往路と同様にハンブルグ・コペンハーゲン間はプロペラ機。コペンハーゲンでの慌しい時間を過ごして東京便へ。9月5日、全員無事に成田空港へ降り立ちました。

最後に
今回の旅ではやはり私が団長として旅した2年前の第1回の視察と同様に、シモン忍さん、友子ハンソンさん、上田さん、そして多くの方々に本当にお世話になりました。これらの方々の、私たちの旅の目的を十分過ぎる程ご理解していただいて、ご協力をいただいたことに対し心から先ず御礼を申し上げます。
冒頭にも述べました様に、参加された皆は多くの成果を得られたことと思います。また、わが国で環境を守り、省エネに寄与し、安心安全な住まい造りを進めていくために何が喫緊の課題であるか、について一層認識を深められたことと思います。それは例えば、省エネ基準など各基準をきちんと定め、それが達成されるよう制度的支援を行い、達成後はより高いものへとしていくような制度を作ること、3世代が住めるものであればローンなどで優遇制度を設けることなど、数え上げれば幾つもあります。外断熱を進めるということは地球を守り、子供たちの将来を守るということに直結するというのが、今回旅した国々の考え方であるとの確信を感じています。
わが国では2002年に「マンション建て替え円滑化法」が成立し、古くなったマンションの建て替えが容易となりました。古いといってもたかが30年以下のものです。今回訪れた街で行われている改修は1915?1940年代のものです。一生で一番の買い物といわれる住宅を電気商品と同じように捉え、そこにあるコミュニティーをも無視する中で、いとも容易く建て替えを進めることを由とするか、環境保全への認識を含め彼我の差の意味するところは限りなく大きく、我々に課せられた使命を改めて感じさせられた、ということを以って報告に代えたいと思います。共に楽しい旅を送らせていただいた皆さん、本当にありがとうございました。

これからも様々な調査ツアーを計画しています
2005年 「スウェーデン・ドイツ外断熱調査ツアー」 計画中! 2005年 「北米・カナダ外断熱調査ツアー」 計画中! 新たな出会いと、外断熱ネットワークのひろがりを求めて・・・・・

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投稿者 hpnew : 2004年11月 7日 03:38