Vol.017 衆議院国土交通委員会
2003年04月15日 衆議院国土交通委員会
民主党・無所属クラブ、井上 和雄 委員- 井上和雄委員
住宅の質の話が出ましたけれども、これは後でちょっと詳しく議論したいんですが、質の 問題は、我が国の今現在の住宅金融のあり方、つまりそれがノンリコースというものを基礎とした住宅金融ではないということにかなり起因しているもので、それはもう少し後でちょっと議論をさせていただきたいと思います。
大臣も、多様な住み方、つまりは、住宅を持ちたいということを思っている人はやはり持てるべきだというふうに考えていると思うんですが、そうなってきますと、例えば余り所得の高くない人とか社会的弱者、いわゆる障害のある方とか、そういう方に対して持ち家を持ってもらう、そういうためにどういうことをやるべきか、または、そういう方が持ち家を持ちたいということ自体に関してはどういうふうにお考えになっているか、ちょっとお伺いしたいと思います。
-松野政府参考人
お答えいたします。
持ち家取得促進ということで、低所得者の方にどうするかということでございますが、比較的低所得の方でも、やはりマイホームを持ちたいという夢を持っておられる方がいらっしゃると思います。そういう方にも可能な限り持ち家取得ができるようにということで、住宅金融公庫によります長期、固定、低利という融資制度、あるいは住宅のローン減税制度、それから生前贈与の制度も、比較的若い低所得のサラリーマンの方でも両親からの生前贈与ということを含めて資金確保ができるような制度も拡充してきているということがございます。
しかしながら、一方、やはり御本人の返済に無理があるということでは困るだろうと思います。多額の借り入れを伴って返済不能にならないようにしたいということで、公庫におきましても、従来から、返済額と年収との関係で申しますと、御本人の返済額の五倍の年収はやはり確保していただくというような無理のない資金計画をお勧めしている、というよりそれを条件にしておりますが、ということでおります。
証券化支援事業におきましても、この一般的なルールは、そのまま公庫が債権を買い取るときの買い取り基準というものに位置づけまして、決して無理のない資金計画で返済できるような制度に持っていきたいというふうに考えております。
〔菅(義)委員長代理退席、委員長着席〕
- 井上和雄委員
年収の五倍が無理のない範囲かどうかという議論もしたいとは思っているんですが、先ほ ど言ったような、やはり社会的弱者に対してのある程度公的金融の役割があるんじゃないかと私は思っております。
あと、特に、これはアメリカでも非常に盛んですが、リバースモーゲージがやはりこれから非常に重要な一つの融資の形態になってくると思うんですね。やはりそういうものに関しては、例えばノンリコースで、公的金融でやっていくという考えもあるんじゃないかというふうには思っています。それに関しては、きょうは質問通告していないので結構です。
今、公庫が大体年収の五倍までは貸す、無理なく返済できるんだというお話があったんですが、私は、年収の五倍という住宅価格というのは、やはり非常に国民の返済する能力を超えている。だからこそ、多くの国民が、住宅ローンの支払いと教育費、この二つが家計負担の中で最も大変だということを言っている。 だから、今後は住宅の価格自体をもっと下げる。たびたびアメリカの例を言っていますが、アメリカの場合だと、大体融資といっても二・五倍から三倍です。やはりそういう政策も打ち出していく必要があると思うんですけれども、どうでしょうか。
- 松野政府参考人
委員がお話しになったのは、いわゆるアフォーダブルな価格、つまり、無理なく買える価 格といいますか、それはどういうものだろうかということですが、かつて、年収の五倍というようなことが言われました。
これは平成四年の生活大国五カ年計画の中で言われたことでございますが、当時、かなり住宅価格が上昇しておりました。少なくとも、その中で、年収の五倍程度で買えるようにしたいというような願望もございましたが、その当時の金利と年収との関係といいますか、端的に言いますと、返済額と年収との関係でいきますと、逆算して年収の五倍程度のものがようやく買えるか買えないかというような時点であったと思います。
では、どのくらいが適当なのかというのはちょっと議論のあるところだと思いますが、少なくとも価格が何倍かというのは、その時点の利率がどうかということと大いに関係がございますので、かなり変動いたします。むしろ、長期固定で借りたときの、その方の返済額と年収との関係が無理がないかどうか、これが基本だと思います。
そうしますと、やはり従来からトータルの償還支出、これが年収の二五%以内が適当だというような、審議会答申でもそういう表現がございます。このトータルというのは、当該物件の返済額のほかにいろいろなローンを抱えているケースがございます。そういうものを合わせて二五%以内というのが妥当だろう。やはりデータを見ましても、二五%を超えると破綻するという率がかなり高くなります。そういう実態もございまして、やはりその辺が一つの目安ではないかと思いますが、したがって、公庫も、ほかのローンもあるだろうということを前提に、返済額の五倍の年収を確保していただきたいという基準を定めてやっております。
これは、やはりサラリーマンからすると、委員御指摘のとおり、上限だと思うんですね。これが望ましい水準だというふうには考えられないと思います。やはりゆとりある生活を送るためには、これより低い水準で返済できるというのが望ましいと思います。したがって、五倍とはいいながら、望ましいのはやはり四倍、三倍といったことだろうと思います。
したがって、住宅価格をこれからも下げるという努力を政府としても進めていくということで、中古流通市場も含めてですけれども、しっかりした市場であり、なおかつ活性化した市場にしていくということが必要なのではないかというふうに考えております。
- 井上和雄委員
今、松野局長おっしゃったように、年収五倍というのは、つまりは月収の二五%がローン の支払いになるというわけですね。つまり、これはもう上限だ。ほとんどの国民が恐らくは上限目いっぱい借りてローンを返済しているんだと思います。だからこそ、収入が減ったりするともう返せなくなっちゃう、家計が非常に厳しくなるということだと思います。住宅メーカーの方も大体その上限に合わせてうちの値段を設定しているんじゃないかというふうに私は思うんです。だから、本当にどうやって住宅の値段を質を保ちながら下げるかということをもう少し真剣に考えるべきじゃないかと思います。
例えば、現在ローンが返せなくなった人、これは公庫の場合ですけれども、代位弁済になっているケースというのは何件ぐらいあるんでしょうか。
- 井上政府参考人
当公庫融資を御利用いただいています方で、ほとんどの方が公庫住宅融資保証協会を御利 用いただいておりますが、過去三年間、貸し倒れになった結果を御説明させていただきますと、平成十一年度、件数にいたしまして一万五千三百七十三件、金額にして二千二百八十七億円、平成十二年度が一万七千七百五十七件、二千六百八十八億円、平成十三年度が一万七千九百五十件、金額が二千七百一億円となってございます。
- 井上(和)委員
一年間にそれこそ三千億円近い額が不良債権化しているということですね。これは相当大 きな額じゃないかと私は思います。
やはり住宅の価格を安くする場合、これはなかなか土地の値段がこれまで高かったということで大きな問題があったと思うんですけれども、そういった観点で、やはり定期借地というものをもっと積極的に活用するべきだと私は思っております。
例えば、現在の定期借地の場合、マンションの場合は五十年で取り崩して更地にして地主に返すとか、また、多額の保証金を請求されるとか、いろいろな問題点がまだあると思います。今後、定期借地制度そのものも、私はかなり見直していく必要があると思うんですね。
民間の場合は、定期借地でローンを借りるということは、現在可能になっているんでしょうか。可能ではあっても保証金を貸してくれないとか、よくそういう面があると思うんですが、その辺ちょっとお伺いしたいんです。
- 松野政府参考人
定期借地につきまして、公庫では、現在、定期借地制度そのものを評価して、それに対す る融資、土地の部分に対する権利金といいますか、そういった性格のものに融資をしておりますけれども、やはり民間銀行では、なおいまだに定期借地制度に対する評価といいますか、まだ定まっていないということで、定期借地権住宅に対する融資を行っているところは少ないというふうに聞いております。
- 井上(和)委員
先ほども言ったように、マンションをつくっておいて五十年で定借の場合は壊すとか、や はり定借そのものをもう少し変えていく必要があるんじゃないかというふうに思っているんです。例えば、ではイギリスのように、リースホールドで九十年の期間借りるようにするとか、その辺に関して、局長、御意見があったらちょっとお伺いしたいんです。これは質問通告していないんですけれども、よろしいですか。
- 松野政府参考人
定期借地制度、今委員がおっしゃったのは、もう少し長くしたらどうかということでしょ うか。(井上(和)委員「はい」と呼ぶ)一つの方法ではあろうかと思いますが、長くしたときに、権利金の土地の価格に対する割合がどうなるのかということとも大いに関係してくるのではないか。例えば八十年、九十年となったときに、今の定期借地権制度のメリットというのが、土地を買うよりは権利金の価格が安く抑えられるというようなことになっていますけれども、長くしたときに果たしてそういうメリットのあるような制度になるのかどうかというところがちょっと研究する余地があるのではないかというふうには考えております。
- 井上(和)委員
その次に、住宅の質、先ほど大臣何回も、これまでは公庫の基準が住宅の質向上に非常に 大きな役割を果たしてきたということをおっしゃいました。私もその面は十分あると思うんですね。今後、まだまだ住宅の質の面、特に私が以前からたびたび指摘しておりますマンションの外断熱化、こういったものに関して、やはり何らかの形でこういった質の向上を普及させていかなきゃいけないと思うんです。
ちょっとパネルを持ってきましたので説明させていただきますけれども、きょう初めて委員会に御出席された方もいらっしゃると思うので。 基本的に、現在の日本のマンションがなかなか長くもたないその一つの理由としては、断熱が要するに内断熱である。つまり、断熱材がコンクリートの内側に張ってある。ところが、欧米では、実は私も先月ヨーロッパの方に行ってまいりましたけれども、外断熱といって、建物の全体を断熱材でかぶせているということです。その周りに壁ができている、二重壁になっているわけです。そうしますと、もちろん省エネの観点からも非常にいいし、また、コンクリート自体が保護されるわけですから、非常に長もちするということです。こういった外断熱のマンションをやはり積極的に促進していく必要があると思うんですね。
省エネという観点から、私はやはり先月行ったヨーロッパで気がついたのは、電車の窓も二重窓なんですね、ホテルの窓も二重窓、住宅も二重窓です。それで外断熱。これは相当日本はおくれているなというのを私は感じました。
- 高木大臣政務官
井上委員御指摘のように、住宅の質的な向上については、これは重要な観点だと思います。
再度確認をさせていただきますけれども、これまで住宅金融公庫の融資におきましては、良質な住宅ストックを形成する観点から、まずは、住宅面積が一定規模以上であることや一定の耐久性を備えること等を要件とするとともに、質的誘導を図るために、バリアフリー住宅や省エネ住宅についての金利の優遇等を行って、住宅の質的向上の役割を果たしてきたと思います。
その上で、住宅の質の確保について、十五年度から開始する買い取り型の証券化支援事業においては、現行の新築住宅に対する公庫融資ですべての住宅に義務づけている基礎基準レベルを買い取り基準として設定する予定となっております。またさらに、公庫融資について、独法設置の際に、民間金融機関が円滑に業務を行っているかどうかを勘案してその取り扱いについては最終決定することとなっておりますので、融資機能が引き続き存続する場合には、この質的誘導にも活用していく考えでございます。
いずれにいたしましても、高齢者が安心して生活できるような住宅のバリアフリー化の推進、さらには地球温暖化対策としての住宅の省エネルギー化を推進するといった住宅の質的誘導は重要な政策課題というふうに認識しておりますので、今後とも、さらに住宅性能表示制度の普及等を図るとともに、金融、税制等の優遇方策などについて検討していくということは必要だと考えております。
- 井上(和)委員
民間にできることは民間にやると冒頭申し上げましたけれども、やはり民間にできないことも当然ある わけですね。特にこういった質的な向上に関してはなかなか民間では政策誘導できない、余計にお金がかかるわけですね。しかし、お金がかかっても社会ストックとしていいものをつくる、そういった観点から、やはりまだやるべきことは私は多いと思いますね。
住宅の質の問題で、日本の住宅の質が欧米に比べて劣っているとよく指摘されている一つの理由なんですけれども、アメリカの場合は、住宅ローン、これはモーゲージ、MBSですね、これを借りる場合は、個人の返済能力とともに、担保となる住宅の価値を厳密に評価しているわけですね。
私自身、以前、国連に勤めていてニューヨークにおりました。そのとき、もう随分昔になりますけれども、いわゆる日本でいうマンション、コンドミニアムを買ったのですが、その際に、当然、返済能力とともに、例えば、これは中古でしたけれども、そのビルがどの程度もつかとか、かなり細かくアプレーザルしていたということを覚えています。
アメリカの場合は、基本的にはMBS自体がしっかりとした担保がついている、そして住宅の価値もしっかりと評価されている、そういうことだと思います。だからこそ逆に、そういったMBSに政府の保証がつけられる。もしその担保自体が非常にしっかりしたものでなければ、質の低いものであれば、これは政府保証をつけない、そういう条件があるのだと私は理解しています。
つまりは、信用リスクが生じて貸し倒れが生じた場合でも、これは担保自体の価値がありますから、債権を回収することができる。日本の場合は、基本的にはこれはノンリコースじゃないですから、クレジットローンですから、担保自体の質というものが評価されない。私が言っていることは、公庫の基準でつくられているからいいということとは、ちょっとそれは違うんですね。
つまりは、日本のハウスメーカーの住宅、これは二千万円の建物でも実際にはその六掛けか七掛け、よくても千四百万ぐらいの価値しかない。つまり、買った翌日から二千万円の建物が大体千四、五百万円の価値になってしまう。それはなぜかというと、住宅、これは新築の場合でもそうですけれども、新築の場合に、技術的な点ではしっかりと審査されているけれども、じゃ、その建物が一体幾らで建ったかということに関しては全くわからないわけですね。つまりは、日本の住宅の場合ですと、坪五十万の住宅だ、それでは四十坪で二千万、そういうことですね。それしかわからない。ところが、実際うちができてみたら、二千万円の価値がなくて、千五百万ぐらいの価値しかない、ほとんどそういう場合が多いと思うのですね。その辺に今の住宅金融の問題点があると思うのです。
質問なんですけれども、先ほども言ったように、担保自体に見合った価値がない。つまり、これからまた、まして地価が下落していきますし、そうした貸し倒れリスクがこれから非常にふえてくると思うのですけれども、それに関してはどういうふうに思っているのですか。
- 松野政府参考人
証券化支援事業で貸し倒れリスクが大きくなるのではないかというようなお話でございますが、現 在の公庫の融資も、経年的に価値が下がっていくということは、同じ問題を含んでおります。したがいまして、証券化支援事業で特にこのリスクが大きくなるというわけではなくて、もともと公庫の融資している住宅も、この証券化支援事業による住宅も、担保価値という問題があるということでございます。
それで、これはもう委員御指摘になりましたとおり、我が国の場合は買った途端に市場の評価がちょっと低くなるのではないか、あるいは十数年たつと相当低くなるのではないかというようなこともございますけれども、例えば公庫融資が三十五年で融資をしているということとの関係で申しますと、今でもそういう問題はあるわけですけれども、ちゃんとした保証をつけているということと、やはりマイホームを買われた方は、御自分がローンは一生懸命お払いになるという現実がございます。したがいまして、通常の事業者ローンほど破綻率は高くないということがございます。
そういったことから、現在の公庫融資制度もそうですけれども、それほど大きな貸し倒れリスクということが発生しているわけではございませんし、証券化支援事業におきましてもそれは同様なことではないかというふうに思います。
- 井上(和)委員
貸し倒れ、先ほど公庫の代位弁済の話で三千億ぐらいという話がありましたから、これからやはりか なり大きな問題になってくると思うのですね。そういったことからも、住宅の質をよくするということからも、我が国もノンリコースのローンを導入することを真剣に考えなければいけないというふうに思います。これは、たしかこの委員会でも赤羽議員が御質問になりましたよね、ノンリコースのことに関しては。
ただ、先ほども言ったように、家を坪五十万とか六十万とか七十万で建てますと、それで、公庫の基準に合っているということで融資されるわけですね。二千万円の家だとしたときに、では、その家が本当に二千万円の価値があるものかどうか。ノンリコースというローンであれば、きちっとその建物自体が評価されて、貸し倒れの際に、担保物件を取ることによって貸し金を回収できる、そして、それ以上個人に対して債務は発生しない、これが要するにノンリコースですね。
私もインターネットでいろいろ見てみました。たしかこの前の委員会の答弁でも、CMBSですか、つまり商業プロジェクト、プロジェクトファイナンスではアメリカでもノンリコースが使われているという御答弁でした。確かにそうですね。おもしろいのは、例えば学生寮の建築なんかに関してもノンリコースというものがありましたし、あと、一つの地域を住宅地として開発して建て売り住宅を建てる、そういう場合にノンリコースが普通のようですね。また、それ以外にも、たしか老人用の住宅をつくる場合、基本的にはプロジェクトでありますね。
ただ、このプロジェクトを考えた場合でも、日本の場合は、例えば十億円のビルを建てる場合、下請企業に丸投げして、実際には下請に五億か六億かで投げて、その差をゼネコンなりが取るというような構造になっていると思うんですね。だから、十億円の建物であっても、実際のその建物の価値というものは十億円ない。私は、今、日本の場合は、まさしく住宅も同じような問題を抱えているというふうに思うんです。
だから、先ほども言ったように、政府が債務保証をするのであれば、やはり基本的にはノンリコースというものにすべきじゃないかという議論もできると私は思うんですね。そういうことによって逆に良質な住宅がふえていく、つまり、払ったお金に見合う価値のある住宅が、そういったノンリコースといういわゆる抵当金融を通じて供給されるようになるというふうに思っているんですけれども、局長、どういうふうにお考えですか。
- 松野政府参考人
ノンリコースローンを我が国の住宅ローンの中に導入すべきではないかという御質問でございます。
委員御指摘のとおり、アメリカでも不動産事業については、一般的にこのノンリコースローンというもの、債務不履行に至ったときに競売が行われるわけですが、その競売後のまだ残った債権、つまり、それで債務が払い切れないというケース、それの履行を債務者の別の財産に求めることがないというノンリコースローンですが、不動産事業の場合、いわゆるプロジェクトファイナンスといいまして、その物件にさかのぼるだけということですけれども、住宅ローンにおきましては、アメリカでもこのノンリコースローンが一般的ではなくて、債権の全額を回収できない場合に、裁判所の判決を得て、一般の財産に遡及可能というようなリコースローンが一般的でございます。
ただし、委員御指摘のとおり、幾つかの州では、住宅ローンについてもノンリコースということを制度として実施しているところがございます。ただし、アメリカの場合は、委員も御指摘されていますとおり、中古住宅市場が非常にしっかりした市場でございまして、当初の価格の八割は必ず売りにかけても確保できるというのが一般的な市場でございます。したがって、融資も八割の上限が普通でございますので、八割の融資額は競売をしたときに必ず確保できるという実態がございます。
そうしたことを背景にして、幾つかの州で実施をしておりますが、実施して余り問題が起きていないという現実があるかと思います。ただ、我が国でこれをやろうとしますと、足りない、払い切れない債務をどうするのかということがやはり現実問題になります。
そうしますと、そういうリスクがあるとすれば、その審査をさらに厳格化していく。対人的な、どういう職業ですか、どういう年収ですかという審査を厳格にする。あるいは、保証料をかなり引き上げなければいけないというような事態が起こり得るのではないかと思います。
したがいまして、現在はちょっと難しいのではないかというふうに思っておりますが、これも、先ほどから委員御指摘のとおり、中古住宅市場がやはり我が国でもう少し成熟したしっかりした市場になっていけば、この問題も解決していく可能性があるのではないかというふうに考えております。
- 井上(和)委員
ノンリコースのローンの本質というのは建物の価値をしっかり評価するということで、今局長がおっしゃ ったように、借りる人の返済能力をしっかりと見なければいけないというふうになるとこれは本末転倒で、逆の話ではないかと私は思うんですね。だから、今我が国の住宅産業に欠けているのは、まさしく中古住宅もそうなんだけれども、新築でも私はそうだというふうに思っているんです。
だから、つくった新しいうちが一体幾らでできたのか。それが、例えば坪五十万で何十坪ですよということではなくて、きちっと、材料、人件費、もうけも全部含めて積算することによって、その建物が一体幾らでできた、つまり幾らの価値があるんだと。これは、公庫が審査している建築基準、技術的な基準とはまた別の問題であるわけです。
だからこそ、私がさっき言った一つの例として、例えば丸投げで下請に投げて、実際は買った値段の半分ぐらいしかお金を使わないで建てた建物は幾らでもあると私は思うんですけれども、やはりそこを本当に変えていかないと日本の住宅はよくならないというふうに私は思っています。
それで、担保物件の評価、これに関して、今回は新築だけということですけれども、今後どのような仕組みというものを考えていらっしゃいますか。
- 高木大臣政務官
担保物件の評価についての御質問でございますけれども、今回導入される買い取り型の証券化支 援事業においては、現行の新築住宅に対する公庫融資ですべての住宅に義務づけている基礎基準レベルを買い取り基準として設定する予定であります。
この基準に適合していることについては、公庫の直接融資と同様に、設計段階の図面の審査、中間及び竣工段階における現場審査を行うことを考えており、その検査に当たっては、住宅品質確保法に基づく指定住宅性能評価機関や建築基準法に基づく指定確認検査機関といった民間検査機関を活用する予定となっております。
- 井上(和)委員
これは局長にお伺いしたいんですけれども、今、中間検査とか最終的な検査というのは全部やられて いるんですか。
- 松野政府参考人
検査がちゃんと行われているかどうかということでございますが、今委員がおっしゃったものにつき ましては、例えば建築基準法に基づきます検査というのがございます。これは完了検査までやっていただくということでございますが、かつてかなり低い時代がございましたが、最近相当、各公共団体にも努力していただいて、上がってきております。
一方、公庫の方は、公庫融資につきましては、原則として途中の検査というのが義務づけられております。例えば戸建てでありますと、棟上げのときと完成のときというように検査が義務づけられておりまして、これは公庫融資の必須条件になっております。したがいまして、これはしっかり行われているというふうに考えております。
- 井上(和)委員
そういった面で公庫の役割があったということは確かだと思うんですね。ただ、先ほども言ったように、 検査というのは建物の価値を見るものではないということを私はもう一回確認しておきたいと思います。
先ほど貸し倒れリスクの話をしたんですけれども、今回の証券化に伴うリスク、三つありますね。信用リスク、金利のリスク、早期に償還されるリスクというふうにあると思うんです。
アメリカの証券化の場合、先ほどの議論の中にもありました、証券化というのが三十年ぐらいかかってだんだんに制度的にでき上がってきた。その過程で、当然いろいろなデータベースがもうできている。
私の聞いた話だと、例えば早期の償還に関して、先ほど、私がアメリカでマンションを買った経験の話をしました。そのときに、一時金利が下がったことがあったんですけれども、要するにリファイナンシング、つまり、金利が低いものに借りかえるということをしなかったんです、ぼけっとしていまして。後でいろいろ文献を読みますと、アメリカのそういうリスク管理の中には、私のようにぼけっとしていてリファイナンスをしない人間の数もちゃんと含んであるということが出ていました。なるほどなというふうに私は感心したんです。つまり、それだけリスク管理、ALMが徹底しているんだなということを当時感心した覚えがあります。つまりは、早期償還する人もいるし、しない人もいる、ぼけっとしている人はしないでしょうから、そういうことだと思うんですね。
日本の場合は、非常にこの辺の経験が浅いと思うんですよ。だから、本当にきちっとしたリスク管理ができるのかなというのを私はちょっと心配しているんですが、いかがでしょうか。
- 吉井政府参考人
期限前償還リスクの管理についての御質問と存じます。
今回、証券化事業で発行しますMBSも、二〇〇一年三月からこれまで発行しております住宅金融公庫の資産担保証券でも、どちらも期限前償還リスクはいわゆる投資家の方に引き受けていただくような形になってございますが、当然、そのためには必要な情報をきちんと整理して開示することが必要であると存じております。 先生御指摘のとおり、若干歴史は古うございまして、アメリカほどの三十年というふうなデータはないわけでございますが、現在のところ、これまで過去十回起債してございますが、それまで各回ごとに、年度ベースで五年分、それから月次ベースで十二カ月分の繰り上げ返済率を、商品内容説明書というような形で開示してございます。また、発行いたしました資産担保証券、MBSにつきましては、繰り上げ償還率等の償還実績を公庫のホームページ等で毎月公表してございます。
この内容につきましては、投資家の要望にこたえまして、いろいろ内容を見直す等、できるだけわかりやすい内容にするように努めているところでございまして、これまでのところ、私どもの対応姿勢につきまして、市場の評価をいただいているものと存じております。
- 井上(和)委員
アメリカの場合はかなり金利が変動しますから、そういう点ではデータもかなりそろっているんじゃない かと思います。
この問題を私が取り上げたのは、インターネットでいろいろ調べていまして、アメリカの経済学者が、日本の場合はまだそういったデータが非常に不足しているということを指摘していたということで今お伺いしているので、ぜひ、そういったことも外部から指摘されているということを覚えておいてください。
住宅ローンが、本当を言えば、年収の三倍ぐらいのうちを買う、その程度の負担で済んで、長期で固定のローンを低利で借りるというのが理想だと思うんですけれども、今回の証券化ということによって、とにかく民間でも長期、固定、低利のローンを出せるようにしようということをねらっているわけですけれども、本当にできるのかという話も出ています。また、当然、サービサーに払う手数料なんかもありますから、金利が高くなるんじゃないかということを懸念している人もいるんですけれども、その辺の見通しはいかがでしょうか。
- 松野政府参考人
証券化支援事業で金利がどういう水準になるのかという御懸念だと思います。 それで、現在、公庫は、当初二・三とか、今は二・二でございますが、十一年目以降三・五というような段階金利をとっております。これを、長期固定の証券化支援事業ではできるだけシンプルな制度にしなければいけないということで、ずっと固定の金利で実施したいというふうに考えておりますが、ずっと固定ということを前提に評価しますと、大体二・七ちょっとぐらいになると言われております。これに、今後は保証料を込みに、今は公庫は保証料は別建てになっておりますが、これを含めますと、現在のものが二・九ぐらいのレベルだというふうに評価されております。
証券化支援事業のものがどうなるかということでございますが、ベースとして、市場でMBSの利付の債券としてどういう評価を受けるかということがかかわってきますが、参考までに現在の状況で御説明しますと、公庫が既に財投機関債というものを発行しております。これと同じ仕組みを採用する予定でございますが、それの市場での評価というのは、証券化市場では一・四%の利回りというのが直近の評価でございます。これに、今後公庫が実質保証しなければいけませんので、保証料とかあるいは諸経費で、おおむねこれは〇・九%ぐらいではないかというふうに思います。最後の、いわゆる民間が最初に貸してそれを公庫が買い取るわけですけれども、そこのところのサービサーフィーを民間がいただくということになります。そこが、かなりいろいろな方々が、ノンバンクも参入してこられて、金融機関の中での競争が発生いたします。それを考えますと、おおむね〇・五%を下回るというような競争になるのではないか、そこら辺に収れんしていくのではないかということも予測されております。 それを考えますと、先ほどの市場での利付の現況が一・四%、それに公庫の諸経費、保証料を含みまして〇・九、さらに〇・五ということを考えますと、二・八%ぐらいの水準になるだろうと思います。
そうしますと、先ほど申し上げました、公庫の今の評価が、固定だとすると全体として二・九ぐらいの評価ではないかということですから、いわば、公庫のものと遜色のないものが出せるのではないかというふうには想定しております。
- 井上(和)委員
これは三十年ですか。
- 松野政府参考人
三十年物ということで考えた場合でございます。
- 井上(和)委員
三十年で二・八%というのは、非常に私はいい金利じゃないかなというふうに思うんですけれども、そ れが本当にできればいいというふうに思います。 一つの問題は、民間が、優良な住宅ローン債権というのは、当然、自分の手元に置いておきたいですよね。公庫に売らない。そういう事態が出てくるんじゃないかというふうに思うんです。つまりは、流通市場に流れていくのが、いわゆる質の悪い、貸し倒れする可能性の高い債権ばかりになっちゃうという、いわゆるモラルハザードというのは心配することはないんでしょうか。
- 吉井政府参考人
お答え申し上げます。
モラルハザードについての御質問でございますが、まず、前提といたしまして、今回導入しようとしております証券化支援事業の制度におきましては、この事業を活用して融資しました住宅ローンはすべて公庫に売却していただくということを前提としております。民間金融機関が証券化支援事業としてローンを売り出したけれども、その分いいのだけをとっておいて、あとを公庫に売り払うというようなことはできないように、全部公庫に売り払っていただくような形にしております。
また、先ほど来お話が出ておりますように、この証券化支援事業につきましても、融資率や返済負担率等のいわば一定の買い取り基準を設定いたしますし、また、考えてみますと、民間金融機関の方にしてみれば、いわば債権管理業務に係る手数料、サービシングフィーでこれから商売することになるわけでございますが、そのサービシングフィーは、住宅ローン債権がきちんと返済されている間だけしか入らないわけでございますので、延滞の可能性の高いようなものだけを選んで公庫に売り払うというようなことはないような制度にそもそも仕組んであるというふうに存じております。
また、制度の運用といたしましても、民間金融機関等に、債権管理業務に係る手数料を支払って適切な債権管理を委託することになるわけでございますが、ある民間金融機関から多くの延滞債権が発生したというような場合には、当該金融機関に対しまして十分指導いたしますし、また、指導しても十分な改善ができない場合には、最終的には契約を解除して買い取り対象機関から除外するというようなことも考えておるところでございまして、そのようなことを講じましてモラルハザードについては抑制を図りたいというふうに考えておるところでございます。
- 井上(和)委員
わかりました。最初から買い取る条件ということでやるということなんですね。
では、次に行きましょう。
現状の銀行ローンというのが変動ローンでほとんど扱われている状況に関してちょっと御質問したいんですけれども、今、非常に低金利で民間銀行は貸していますね、一%ぐらいで。これは変動ですから、一年とか三年とか、いわゆるARMというんですか、そういう一面もあって、公庫自体に融資を依頼する人も減ってきているという状況があると思うんです。
ただ、変動金利の場合、これは変額保険という問題もありましたけれども、例えば国債が暴落したりすると金利が非常に上がって、それに伴って住宅ローンの金利が上がる、それでローンの返済ができなくなるというような事態も当然考えられるわけです。恐らくほとんどの人は、本来でしたら固定金利を選ぶのが当然だと思うんですね。ただし、私自身の経験からいっても、お金が余りないですから、当初は支払い額が少ない方がいいと思うわけです。そうすると、やはり変動金利が楽でいい、一%だと。しかし、それは後でどういうことになるかわからないということですけれども。
たびたび私の例を申し上げて恐縮なんですが、つい最近リファイナンスをやったときに、ARM、つまり、これは変動金利なんだということに関して了承したという書類にサインをさせられたということです。つまり、変動金利はそれだけリスクが高いんだということをしっかりと消費者に説明する、その説明責任を果たしているわけですね。
しかし、私がちょっと、日本の今の住宅ローン、民間銀行がやっているのを聞きますと、何かもう、とにかく安いですから、今キャンペーン期間中で一%ですよ、何%ですよというふうにセールスしてそのローンを売っているという現状があるように思うんですね。これは非常に、一面危険な面もあるし、果たしてそれでいいのかということもちょっと今思っているものですから。
これは本来金融庁に聞く話だと思うんですけれども、きょうは呼んでいないので、どういうふうに思われますか。
- 松野政府参考人
委員御指摘のとおり、現在、民間が、住宅ローンのいわばセールスを非常に強力に展開しておりま す。その中で、三年固定あるいは五年固定という非常に短期の固定のローンを、最初の段階は非常に低い金利を設定しましてセールスをやっているということがございます。委員御指摘のとおり、実際は返済能力が余りないような方が逆に飛びついているという可能性は十分にあるのではないかと思います。
したがって、それが三年固定、五年固定の時期が終わって変動金利になったときにどういう金利情勢になっているかということを考えますと、返済困難に陥る可能性が十分にあるということで、金利が何%になるとこのぐらいの返済額になりますよというようなことは、本来知っておいていただいた方がいいのではないかと思います。
そういった意味で、私どもも、金融庁にも入っていただいて、住宅金融に関する消費者教育・情報提供に関する研究会というのをやりました。その中でもその辺のことを、今後は金融機関において、商品の説明あるいはパンフレット、実際の販売場面において説明していただくことが重要だということでございます。
私ども、直接、任意の民間の銀行の所管ではございませんので、金融庁とも協力してその辺の、民間金融機関でそういったことが行われるように要望してまいりたいといいますか、金融庁にもお願いをしていきたいというふうに考えております。
- 井上(和)委員
民間金融機関が一生懸命今住宅ローンをやっているということは非常にいいんですけれども、恐らく、 まだやり始めて日が浅い。例えば、変額保険で裁判になった、非常に社会問題にも一時なりましたから、やはりその辺は、先ほど私がアメリカの例を挙げましたように、きちっと説明を受けたということを書面で確認するというようなことをやらないと、私は本当にこれが後で大きな問題になるんじゃないかなということを心配していますので、ぜひよろしくお願いいたします。
それでは、私の質問はこれでおしまいです。どうもありがとうございました。
投稿者 hpnew : 2003年4月15日 00:43
